年収400万円で年間7800円の負担
岸田政権が今回集める金をもとに拡充するという少子化対策は、子を持つ夫婦を対象とするものに偏重し、若者が結婚や子どもを持つことをためらう環境を変えられず失敗した韓国と同じ道を行くのではないかとの憂慮もある。
岸田首相は2月の国会で「粗い試算でいえば2028年度の拠出額は、(医療保険)加入者一人当たり月々の平均は500円弱と見込まれている」と口にしていた。
「しかし、これは支払い能力がなく、親の扶養に入っている子どもにまで払わせて平均すればいくらになるかという前提のおかしな算出額で、一人当たりの負担額を少なく見せるためのトリックです」(野党関係者)
実際にはいくらの負担増になるのか。
4月9日に政府がまとめた年収別の拠出金額によると、初年度の2026年度から段階的に引き上げられ、2028年度には年収200万円の人は月額およそ350円(年間4200円)、400万円の人はおよそ月額650円(年間7800円)、600万円の人はおよそ1000円(年間1万2000円)、800万円の人はおよそ1350円(年間1万6200円)、1000万円の人はおよそ1650円(年間1万9800円)としている。
「夫婦がそれぞれ年収400万円の共働き家庭なら年間の負担増は1万5600円になります。政府はこうして徴収した金で、支援拡充のための“子ども子育て支援金制度”を設けるとしており、支援金制度の規模は2026年度は6000億円、27年度は8000億円、28年度以降は1兆円になると説明しています。
ただ加藤鮎子こども政策担当相は『正確な試算は難しいが、参考になるものとして令和3年(2021年)実績の総報酬で機械的に計算した』と話し、見通しの正確性について逃げを打っています。加藤氏は国会で、負担額が将来上がるのではないかと聞かれ『法律の建てつけ上、可能性はある』と認めています」(社会部記者)
政府は少子化対策で、
①児童手当の所得制限を撤廃し対象を18歳まで広げる
②両親がともに14日以上育休を取得すれば最長28日間は手取り収入が減らないよう育児休業給付を引き上げる
③妊娠・出産時の10万円給付
といった施策を行なうと発表している。