深紅のカーテンの裏側––––「1・19」の衝撃

2026年1月19日。東京・永田町の総理官邸。 記者会見室の壇上、深紅のカーテンを背に立った高市早苗総理は、鋭い眼光を記者団に向けていた。その口から発せられたのは、「宣戦布告」だった。

「なぜ今なのか。高市早苗が首相でよいのかどうか。いま、主権者たる国民の皆さまに決めていただく。それしかない。そのように考えた」

深紅の“勝負カーテン”を背景に会見で解散を表明した高市総理(高市氏Xより)
深紅の“勝負カーテン”を背景に会見で解散を表明した高市総理(高市氏Xより)
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通常国会の冒頭、予算案の審議すら始まっていない段階での「冒頭解散」。来年度予算の成立を事実上棚上げし、国民生活への影響を度外視してまで彼女が突き進む理由は何か。

「総理として進退をかける」

そう言い切った彼女の勝敗ラインは「与党で過半数」。一見すれば当然のラインに見えるが、その実態は「極めて危険な綱渡り」に他ならない。現在の衆院定数465に対し、過半数は233。自民党は196議席、連立を組む日本維新の会が34議席。維新を離党し自民会派に入った無所属議員3名を合わせて、ようやく233議席という薄氷の安定だ。

維新の機能不全「高市総理の本音は、自民党単独での過半数奪還」

つまり、高市総理が掲げる「過半数」とは現状維持を指すが、彼女の真の狙いはそこにはない。側近の一人は、周囲の喧騒をよそに冷徹に言い放った。

「高市総理の本音は、自民党単独での過半数奪還、つまり37議席以上の積み増しだ。閣外から『連立離脱』をちらつかせる維新を押さえつけるため、真の『高市カラー』を打ち出すための聖戦だ」

今回の解散劇の伏線には、連立相手である維新との埋めがたい溝があった。 高市総理と維新の吉村洋文代表。二人の関係は決して険悪ではない。しかし、統治機構としての「自維連立」は機能不全に陥っていた。

「維新は、吉村さんが東京に来ないと何も決められない」

高市総理は最近、周囲にそうこぼしていたという。大阪府知事として地方に拠点を置く吉村氏と、東京の官邸。この物理的な距離が、意思決定のボトルネックとなっていた。