「野暮ったい」という理由から、レコード会社に相手にされなかった

のちに「カーペンターズ」を結成することになる兄リチャード・カーペンターと妹カレン・カーペンター。二人が最初に注目を集めたのは、1966年のことだった。

学校に通いながらリチャード・カーペンター・トリオとして活動。この年にハリウッド・ボウルで開催されたアマチュア・コンテストに出場すると、巧みな演奏技術とアレンジの素晴らしさから、圧倒的な評価を集めて優勝したのだ。

同年、大学の友人らを加えて6人組のバンド、スペクトラムを結成。

自分たちの音楽に自信を持っていたリチャードとカレンは、レコード会社と契約してデビューすることはもちろん、ラジオから流れてくるようなヒット曲を作り、プロのミュージシャンとして成功を収めることを信じて疑わなかった。

『Carpenters - Rainy Days And Mondays』。Carpentersより

しかし、ここから彼らは不遇の時代を送ることになる。いくつものレコード会社にデモテープを送るも、どこからも相手にされなかったのである。

当時のアメリカではロックやフォークが若い世代の人気を集めており、ポップスの売上は低下しつつあった。さらに二人の住んでいたカリフォルニアではヒッピーによるムーブメントが起こっていて、サイケデリックな音楽が最新のカルチャーとして発信されていた。

そうした時代の変化の中で、スペクトラムの音楽は評価されながらも、野暮ったくて今の時代には売れないと判断されてしまったのである。