「気分」で認知能力が変わる
幸せなときや悲しいとき、自分のなかにエネルギーが満ちているのを感じたことがあるだろうか? また、頭がさえて集中できているときと、頭にもやがかかったようで集中できないときの違いを考えたことはあるだろうか。
自分を取り巻く環境に対する認識や、自分の精神状態は、日常のエネルギーレベルを決めるのに重要な役割を果たす。脳の健康に不調が生じると、周囲や自身に対する認識だけでなく、自分の体を思うように動かしたいという感情や欲望にも悪影響が出る。
気分はエネルギーレベルの決定にとてつもなく大きな役割を果たしている。脳が健康でないと、不安やうつといった気分障害が起こりやすく、さらにそれが私たちの精神面や生活に重大な損害を与える可能性がある。
重度の疲労はうつを悪化させ、不安を高めるといわれており、さらに疲労はうつの経済的負担を45%増やしている。疲労を軽減することがうつの治療に効果的なことも、うつと疲労の関連を示す証拠だといえる。
体が必要とするエネルギーをつくり出すためには、脳内のニューロンが「さあ目を覚まして、気を張って、幸せを感じるためにエネルギーがたっぷり必要だよ!」という信号を出さなければならない。
そして、その信号を伝えるためには、大量の神経伝達物質が必要になる。
だが神経伝達物質が足りなかったり、信号をきちんと受け取れなかったりすると、頭がぼんやりしたり、記憶容量いっぱいまで記憶を保てなかったり、感情的に不安定になったり、エネルギーが湧いてこなかったり、という状態に陥る。
実際、そんな状態が日常化してしまっている人たちも多い。そういう人たちは、どうして自分の集中力が続かないのか、どうして記憶力が衰えているのか、どうして不安やうつにとらわれているのか、どうしてつねに疲れているのか、考えたこともないかもしれない。
体内にはさまざまな神経伝達物質があるが、エネルギーレベルを上げるのにとくに重要なのは次の5つだ。
・アセチルコリン
・ドーパミン
・セロトニン
・オレキシン
・GABA(γ(ガンマ)-アミノ酪酸)