日本をサイバー化するには「皆さんに光ってもらうしかない!」

求めていた未来を横目に、来てしまった現実で彼女は思う。

「ここ数年、日本の夜の町が暗くなっているんです。昭和ってもっとネオンの灯りでギラギラと明るかったと思いませんか? 今はパチンコ屋さんや屋外看板など規制されて昔より明るくないですし、『セオイネオン』を背負い出したのも今、規制がない場所は人体だけなんじゃないかと思ったから。だから私は自分を光らせて夜の街を練り歩いてるんです」

「日本の夜が暗くなっている」。“サイバーおかん”タナゴが目指す「日本サイバー化計画」ってナニ?_g
ハンディ扇風機ブームに先駆けて作ったと自負する「扇風機ハンドバッグ」

そんな特異な活動をするタナゴさんは、日本よりもむしろ海外から注目を集めている。その理由を聞いてみると、

「 『伝統』と『最先端の未来技術』が両立する日本風サイバーパンクが、いまでも世界で根強い人気だからでしょう。一方で日本人からは、物珍しい笑いの対象として捉えられることが多いですね。本来は日本らしさであるはずなのに……もどかしいですね。いつまでこの活動を続けていくかですって? みなさんにサイバーの素晴らしさを布教して、夜は私のように電飾で歩く人が当たり前にいる世の中になるまでです。そうすれば、日本の夜がまた明るくなりますから」

彼女の背中に光る「電脳」の文字は、存在しなかったパラレル世界の光であると同時に、来るかもしれない未来への道案内なのかもしれない。
(写真/下城英悟)