――『少女飛行』もいい曲ですけど、『怪盗少女』は歴史を変えたんですよね。
『少女飛行』もそうですよね。ぱすぽ☆のときはSUPER GiRLSにはとにかく負けたくないと思ってて、そこバチバチさせたいなっていうのはスパガの樋口(竜雄、統括プロデューサー)さんとも話してましたね、ライバルとして頑張りたいねって。
プロレスとアイドル
――当時、運営にプロレス好きが多かったのが大きかったと思うんですよね。川上さんと山田さんが戦いがわかる人だったから。
僕はそれほどプロレスに明るくなかったので。だから「もっとやれもっとやれ!」って焚きつけられて傷だらけにされて、いいオモチャだったんだろうな。そしたら「あいつは裏切り者だ」っていろんなところで言われて。
――わかりやすくヒールターンした感じですもんね。
ヒールやってましたねえ……。
――敵軍に回って。
ホントそうですよね! 俺よく五体満足で生きてるなあ、この歳まで。
アイドルと人生
――いい話が聞けましたよ。
あの頃みなさんどう思ってたのか、いまだからこそ川上さんにお話をうかがってみたいです。あの頃みんな頭おかしかったんで、全員集めて答え合わせできたら楽しいんじゃないかなって思いますね。
――異常な時代だったせいか、みんな意外と当時の記憶がないじゃないですか。山田さんもあまり覚えてなかったり、川上さんもけっこうフワッとしてるんですよ。メンバーは追い込まれたことは覚えてるんですけどね。
いまでも武道館とかアリーナとかやってるももクロを見てて、れにちゃん今年29歳かって。あーりんが20歳過ぎたときもホント絶望しましたけどね。「おまえランドセル背負ってたじゃん!」みたいな。歳とりましたねえ(笑)。
――ももクロから離れて12年ですからね。
ももクロを離れるときに優しかったのはなぜか川上さんだったんですよ。「フクちゃんありがとね、フクちゃんもいろいろ人生経験してみたいだろうからさ、頑張りなよ」って言ってくれて。正直、怒鳴られるか殴られるかぶち殺されるかだと思ってたんですよ。なのに、すげえ優しいテンションでそう言っていただいて。
藤下さんと川上さんは人生の恩人ですね。ももクロのメンバーもぱすぽ☆のメンバーも、ぱすぽ☆の林さんもそうですし、素晴しい方たちに……もしかしたらアイドル戦国時代ってただ僕を育ててくれただけの時代だったのかもってちょっと思う部分があります。いろんな方にご指導いただいて、ホントにありがたい時代でした。
取材・文:吉田豪
写真:小山田恵太
サムネイル画像:Sports Nippon/Getty Images Entertainment/Getty Images