ガザ南部最大の病院攻撃への抗議
パレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃をきっかけに戦闘が勃発して4か月が経過した。11月24日から12月1日の7日間停戦したものの、その後、戦いが終息する気配は一向に見られない。
イスラエルのネタニヤフ首相は2月14日、「ハマスが譲歩しなかった」として、ハマスとの休戦交渉を打ち切ると発表。今現在までの死者は約3万人、負傷者は約7万人と言われているが、今後も多数の死傷者が出る可能性は高い。実際、多くの避難民が暮らすパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファに対して、イスラエルは地上作戦を計画しており、さらなる攻撃を進める構えを示している。
ラファへの地上作戦が実施された場合、これまで以上の死傷者が予想され、ガザ地区で医療支援を実施している世界最大の国際的緊急医療団体「国境なき医師団」は公式Xで、「イスラエルがパレスチナ・ガザ地区南部ラファへの地上作戦を明言したことを受け、国境なき医師団はこれを直ちに停止するよう求めます」と抗議した。
また、2月15日には「パレスチナ・ガザ地区南部で最大の病院、ナセル病院に、イスラエル軍が退避を要求しました。国境なき医師団は、これを強く非難します。ナセル病院では、銃撃ですでに15人が死傷しています。ここを出ても、ガザに安全な場所はどこにもありません。改めて即時停戦を求めます」と投稿している。
予断を許さない状況が続いているが、日本ではイスラエルとパレスチナの紛争について正確に把握している国民は少ない。現地は今どんな状況にあるのか、国境なき医師団広報部の山田瑞穂さんに現地の状況を聞いた。
「10月7日にイスラエルとパレスチナでの衝突が起きて以降、今もなおガザ地区ではイスラエルによる容赦ない無差別攻撃が繰り返されています。その結果、ガザ北部の建物や地区全体が破壊されて瓦礫の山と化しました」
集英社オンラインでもこれまで報じてきたとおり、ガザ北部では病院や避難所が爆撃を受けたり、北部では街全体が危険に晒され南部への非難を余儀なくされていた。
「多くの避難民は南部で生活せざるを得ません。簡素なシェルターは強風や雨にあおられ、寒い季節を路上や空き地で過ごしています。加えて、砲撃や銃撃による傷への感染症、下痢、呼吸器感染症、皮膚感染症、栄養失調などあらゆる疾患に苦しんでいる人は少なくありません」(山田さん)