補選の行方と衆院解散のタイミング
ただ、そもそも岸田首相が衆議院を解散できる状況をつくれるのかという問題もある。
4月28日には3つの衆院選挙区で補欠選挙が行われる見通しだ。そのうち1つは、昨年4月の江東区長選で区議などに現金を配り、公職選挙法違反の罪で起訴された柿沢未途議員の東京15区。もう1つは、自民党裏金問題について質問した記者に「頭悪いね」と言い放ち、政治資金規正法違反で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた谷川弥一衆院議員の長崎3区だ。
この2選挙区は「政治とカネ」の問題が絡んでいるだけに、自民党にとっては逆風必至。岸田首相も苦戦を強いられると見られる。
残る1つは昨年11月に多臓器不全で亡くなった細田博之前衆院議長の島根1区だが、細田氏も生前にセクハラ問題や旧統一教会との関係を巡りさまざまな批判を受けたため、与党有利の弔い合戦になるとは言い難い。
野党関係者は「自民党が3タテを食らう可能性も十分にある。そうなった場合、岸田首相が解散に臨むのは極めて難しくなるだろう」と話す。
1月31日、衆議院本会議の代表質問では、立憲が泉代表に続く2人目に、長崎3区補選に立候補予定の山田勝彦氏を登壇させ、早くも4月補選に対して攻勢を仕掛けている。
果たして4月補選の行方は。そして、衆院解散総選挙はあるのか。
いずれにしても、各選挙区の国民に問われるのは、これからの国政を誰に委ねるかという選択だ。
裏金問題については、安倍派が2018年から2022年にかけての5年間で、6億7654万円ものパーティー収入が収支報告書に不記載だったことが発表されており、その一部が直近3年間では国会議員91人に裏金として還流されていたことが明らかになっている。
だが、多くの議員は裏金の金額が“基準”である4000万円に満たなかったため、立件が見送られて罪に問われていない。
こうした状況に対して国民はどのような審判を下すのか。政治のあり方が我々国民にも問われている。
取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班