「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」が低い
このランキングは、ここまで見てきた総合指標以外に、次の4つの指標で評価が行われている。
「経済状況(国内経済、雇用動向、物価などのマクロ経済評価)」では、日本は世界第26位だ(前年は第20位)。
「政府の効率性(政府の政策が競争力に寄与している度合い)」は、2010年以降、第40位前後と低迷しているが、23年は第42位にまで低下した(前年は第39位)。
「インフラ(基礎的、技術的、科学的、人的資源が企業ニーズを満たしている度合い)」では、第23位(前年は第22位)だった。
「ビジネスの効率性」は、昨年の第51位から第47位に上昇したが、低い順位であることに変わりはない。
このことから、「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる。
政府の能力の低下が浮き彫りに
政府の政策が適切でなく、非効率的であることは、さまざまな面で指摘される。
第6章で取り上げるマイナンバーカードをめぐる迷走ぶりを見ると、いまの日本政府は基本的なことが実行できていないことがよく分かる。今後、マイナ保険証に関してさらに大きな混乱が発生することが懸念される。
デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができていないのだ。
マイナ保険証のような技術的問題だけではない。政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行っていない。防衛費も増額するが、財源の手当てがされていない。
日本政府は迷走しているとしか言いようがない。
そして、このような無責任な政府に対して、野党が有効なチェック機能を果たしていない。日本の野党勢力は、2009年に政権を取って政権担当能力がないことを露呈してしまった。その後は批判勢力としてさえも機能していない。民主主義国家で、野党がこれだけ弱い国は、世界でも珍しい状況ではないだろうか?