資産の売却とM&Aで持たざる経営を進めるハイアット
ハイアットも1300人のレイオフを進めた。しかし、ホテルの運営スタッフを多く抱えている以上、利益率を高めるのにも限界がある。ハイアットはコロナ禍を機に持たざる経営への姿勢を強めている。
まず、20億ドル相当のホテル資産を売却する取り組みを始めた。
今年12月22日にも「パーク・ハイアット・チューリッヒ」をアメリカの投資ファンドに売却する方向で交渉を進めていると報じられた。売却額は660億円と言われている。
ハイアットは手持ちの資産の売却によって一時的に収益性が上がる。それをテコに強気のM&Aを行った。2021年にアップル・レジャー・グループを買収したのだ。
この会社は10か国で3万3000室以上のホテルを運営している。ハイアットのCEOマーク・ホプラマジアン氏は、「アセットライト経営されたアップル・レジャー・グループの買収により、ハイアットは非常に魅力的で独立したリゾート運営プラットフォームを取り込むことができるので大変うれしく思います。」とコメントしている。
正にその通りで、この会社の総資産に占める固定資産は1.5%程度しかない。ハイアットが向かう方向と合致するものだ。
コロナ禍はホテル業界の常識を塗り替えた。稼ぐ力を高めた3社の勢力図争いに注目したい。
取材・文/不破聡 写真/Shutterstock