報道機関がガザに入る唯一の方法
――10.7が戦争の始まりではないということですね。
はい。そのことはやはり、我々の無関心のせいでもあります。だから、今までパレスチナことを何も知らなかった人たちが、意見を交わしあっていることは、すごくいいことだと思っています。
――開戦後のイスラエル国内の様子は、須賀川さんの目にどう映りましたか。
もう怒りが半端じゃないです。それまで「パレスチナを開放しなきゃダメなんだ」と言っていた穏健派のイスラエル人が、「絶対許せねえ」「徹底的に潰すしかない」と言っていて、ものすごくショックを受けました。ある意味、ハマスはイスラエル国内にいる自分たちの最大の味方を敵に回すぐらいのことをやってしまったんです。
あれから2か月と少し時間が経って、イスラエル側の度を超えた攻撃や、人質の奪還がうまくいってないことと合わさって反戦ムードが多少広がっていますが、それでもパレスチナの人たちに心を寄せてきた人たちは、イスラエルからかなり減ってしまったと思います。
――現在、メディアがガザに入ることはできるのでしょうか。
基本的にはできなくて、ひとつ可能性としてあるのが、イスラエル軍に帯同して入ること。CNN、BBC、CBS、ABC、FOXニュース、ニューヨーク・タイムズのような、イスラエル側が「影響力がある」と判断した世界的メディアやいくつかの日本メディアはその方法で入っています。ですが、どの社も出版・配信する前にイスラエル軍からチェックを受けているとみられます。私たちは戦争勃発当初から申請していますが、いまだに選ばれていません
――NHKや共同通信が報じているガザの映像というのは?
ガザの中にいる現地のフリーランスジャーナリストと専属契約をしているんだと思います。彼らは生活のためということもありますが、やっぱり現状を世界に知ってもらいたいという信念で動いています。パレスチナ、ガザの人たちは特にそれが強いです。
――須賀川さんの滞在地には、他国メディアもたくさんいたと思いますが、それぞれ各国に伝えている内容は違ったりするのでしょうか?
意外とやっていることは変わらないんですが、海外はニュースに対する感度が全然違うんですよね。どうしても日本は関心が薄れるのが早い。これはもう、現場の僕らがいい取材をして、関心を持ち続けてもらうしかないです。