捨てる技術その1 「解釈」を捨てる
たとえば、あなたの目の前で雨がシトシト降っていたとしましょう。
このとき、「雨が降っている」は実際に起こっていることであり、誰も異論を挟めません。誰にも動かせない事象を「事実」と呼びます。
しかし、そんな日に友人に「今日はどんな天気?」と聞かれて、あなたが「いやー、悪い天気だよ」と答えたとしたらどうでしょう? 「雨が降っていること」に対しての感想は人それぞれです。
もちろん、雨が降ることに対してマイナスの感情を持つ人も多いでしょうが、「お気に入りの雨傘を使える!」「これで今年は農作物が凶作にならなくて済むかも」という人も一定数いるわけです。
つまり、事実をどう捉えたかが「解釈」であり、あなたは自分の思い込みで「雨=悪い天気」と考えているにすぎません。
事実はひとつですが、解釈は無数に存在するのです。
いまや小学生も真似をしていると聞く、ひろゆきさんの「それってあなたの感想ですよね」という論破ワード。これは、「それってあなたの解釈ですよね(客観的な事実に基づいていませんよね)」と相手に指摘しているわけです。
問題の正解は、「B」です。
Aがなぜいけないのかというと「プロジェクトの進捗」という明確な事実についての質問をされているのに対して、「うまくいっているはず」という思い込みの解釈で答えているからです。
「人の時間を奪わないために、ひと言でまとめる」ことが大切で、言葉にするスピードを上げることはトレーニングできるとお伝えしてきました。
しかし、即答しようとするあまり「思い込みの解釈」でその場をしのごうとするのは逆効果です。
Bの答えのように、「わからないことは、わからない」で答えればいいのです。
適当な解釈は相手の信頼を失います。
こういったやりとりを教訓にできる人は、「今度聞かれたらこう答えよう」「ちゃんと想定問答を用意しておこう」と、前向きに成長できる人だと思います。
ちなみに「解釈」自体は、決して悪いことばかりではありません。
事実が決まりきっていない状況や、新しいアイデアを考えるときなどは発想の幅が必要になりますから、「自由に解釈する」ことが価値を持つ場合もあります。
それがビジネスとしてかたちになっていく過程で、「事実に基づいた評価」を受けていきます。
だからこそ、「思い込みの解釈」と「事実」をしっかり分けて考えることが大切なのです。
まとめ 仕事をスムーズに進めるために、「解釈」を捨てる