店舗数は全盛期の半分以下となり、現在も縮小の勢いが止まらない書店業界

1980年代、日本には2万5千を超える書店があった。
だが2004年に2万軒を割り込み、2022年には1万1000軒ほどにまで減少している。
悲しいことに、日本の書店数が1万軒を切るのは時間の問題のようだ。
ここのところ首都圏でも歴史ある大型書店の閉店が相次いでいるし、全国の市区町村のうち4分の1には一店舗も書店がない状況になっているという。

photo AC
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僕は大学生だった1990年代初頭に約3年間、地元の書店でアルバイトをしていたことがある。
東京三多摩地区の私鉄駅前の、中規模書店だった。
19時から23時30分の閉店までを担当する夜シフトだったので、学生バイトながらレジの締めに立ち会うことが多かった。
もちろん季節や曜日によって上下するものの、その頃、店の売り上げはだいたい毎日100万円前後もあったと記憶している。

ときどき店に顔を出す社長は羽ぶりが良かった。会社は僕がバイトしていた店のほか、千葉県でも支店を運営しており、30〜40代の若い社長はピカピカのデカい高級4WDカーに乗って、2つの店を行き来していた。
社長以下社員数名の極小企業ながら、なかなか立派な経営状況だったことが窺えた。

だが、そんな“売れてる本屋”だった僕のバイト先は、2006年だったか2007年だったかに、ひっそりと閉店した。
そこだけではない。僕の地元駅周辺には20世紀の終わり頃まで、中小合わせて5〜6軒の新刊書店があったが、一つまた一つと閉店し、現在はかろうじて1店が残っているのみだ。

illust AC
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どうも、書店のことを書くと辛気臭くなる。
僕も長年にわたって版元(出版社)に勤めたうえで独立し、現在はフリーの編集者兼ライター/コラムニストとして活動している出版人。
とにかく本や雑誌が大好きなので、現在の書店業界の窮状は心痛むばかりだが、冷静に考えれば考えるほど、「あ〜、詰んでいるなあ」としか思えない。