日本の描写が間違ったままのハリウッド映画

ハリウッド映画では、日本を舞台にした作品が数多くありますが、いまだに日本の描写がめちゃくちゃなものがほとんどです。※3 それに比べて、中国や韓国を舞台にした作品では、現代の中国・韓国それぞれの「間違っていない描かれ方」がされていることが多いといいます。その理由は、「日本人は抗議しない」からと指摘されています。

あるハリウッドのプロデューサーは、「日本人は怒らない」から、わざわざ配慮した表現をする必要がないと説明したといいます。一方、「中国人や韓国人は、自分たちが気に食わない表現があると、烈火のごとく怒り、すぐにストライキをする」から、そうなってしまうと大変なので、あらかじめ配慮した表現をしておくのだそうです。

日本社会で高く評価される「我慢力」は、自ら主張しなければ損をするだけという世界でのスタンダードにおいてどうなるのか_3
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日本は、ハリウッドが作るままを受け入れるだけで、もし不満があっても黙っている。一方、中国と韓国は、しっかり問題意識を持って自己主張をして、自分たちの主張を通す。また、現在の新しい中国人像・韓国人像を自らハリウッドへ発信して、イメージを自分たちの手で更新していく。

こうした「日本とハリウッド」の関係性は、そのまま「日本のビジネスパーソンと会社」の関係に当てはまるものではないでしょうか。黙っていて、自ら主張しなければ、損をするだけであり、「中国・韓国とハリウッド」の関係を目指した方が良いことは明らかです。


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※3 週刊女性PRIME「寿司職人、日本兵、サラリーマン、海外映画の「ニッポン」が“おかしいまま”のワケ」を参照。

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文/永井竜之介
写真/shutterstock

分不相応のすすめ
永井竜之介
日本社会で高く評価される「我慢力」は、自ら主張しなければ損をするだけという世界でのスタンダードにおいてどうなるのか_4
2023/11/20
¥2,200
216ページ
ISBN:978-4911194003
「これくらいが自分にはちょうどいい」。生活でも仕事でも無意識に作ってしまう「分相応」の自己評価。じつはこれが「壁」となり、挑戦や成長が妨げられている。その原因は「日本らしさ」にあった。マーケティングの科学的知見を背景に、自分の「分相応の壁」を破り、周囲の空気に負けずに、現状を打開するためのマインドとメソッドを提示。「自分はこんなもの」と悟ったように見えて、「本当は自分を変えたい!」という諦めきれない本音を多くの人が隠し持っている。行き詰まりを感じて思い悩む現代人に必読の一冊。
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