ヤングケアラーは兄弟の問題が起きやすい
――相葉さん自身も、家族のケアが終わって自分のやりたいことをやれる状況になったときに、そういった影響は感じましたか?
相葉 私は少し特殊なパターンで、自分の家庭以外にお世話になっている恩師の方がいて、幼少期の半分はそっちで過ごしていたんです。大変なときにご飯に呼んでいただいたり、常識を教えてもらったりしていたので、わりとスムーズに通常ルートに戻れた……と思いたいんですけど(笑)。
石井 それはすごく大きいですね。
相葉 「それはおかしいわよ」「なんでお母さんの親がお金を出さないの?」「なんであなたがそんなにやらなきゃいけないの」って、いまなら当たり前に思うことをズバっと言ってくれて、そこで初めて、「え、もしかしてこれっておかしいの?」と思うことができました。
とはいえ、別に状況が改善するわけでもないので、葬式が終わったら家から離れよう、くらいの認識でしたけど。
石井 でも、そういってもらえるだけで「自分は悪くないんだ」と、考え方が広がりますからね。
相葉 そうですね。本当にその一言で救われました。
石井 それと、ヤングケアラーは兄弟の問題が起きやすい状況でもあるなと思います。例えば、上の兄弟が甲斐甲斐しく親の世話をしているときに、弟や妹が1人ぼっちになって、ある種のネグレクト的な関係性が生まれてしまったり。結局、ヤングケアラーというのは、ケアする人とケアされる人だけの問題ではなく、その外側にもさまざまな大きな問題が出てきたりするんですよね。