スクランブル交差点に人が集中すると危険な理由
「渋谷区もなんとかこの悪いイメージを払拭しようと思ったのか、2019年に『ハロウィーンを渋谷の誇りに』というスローガンを大々的に掲げ、クリーンに盛り上げる意思表示を示した。しかし、その矢先にコロナ禍となったのです」
コロナ禍ど真ん中の2020年、長谷部健区長は「仮装や見物のために渋谷に集まるのは我慢してほしい」と来訪自粛を呼びかけたのだが……。
「ふたを開けてみればこの年の10月31日、19時ごろには仮装した若者でごった返すことに。DJポリスも交差点の雑踏警備で『立ち止まって写真を撮らないで』『自撮り棒を持って走り回らないで』などと呼びかけていました」
ますますイメージを損なった渋谷ハロウィーン。そして昨年の10月29日には韓国で、ハロウィーンのため梨泰院(イテウォン)へと訪れた158人が犠牲となる「ソウル梨泰院雑踏事故」が発生した。
今回の渋谷区による“ハロウィーン厳戒態勢”も、この事件の影響を少なからず受けているのだろう。
けれど、佐藤さんは将棋倒し以外にも、異常な人混みよって起きかねないことへの危惧があるという。
「あの交差点一帯は人工地盤なんです。コロナ前の2019年には約4万人もの人が集まったのですが、今回、それ以上の人間が集結したらいつか地盤が崩れるんじゃないかと、心配ですよ。いつも撮影してる私も巻き込まれるかも? 私は渋谷センター街入口の大盛堂書店脇に脚立を立てて撮ってるので、大丈夫だと思いますが……」
万が一の大事故が起こらないとも限らない。今年で100歳の誕生日を迎える忠犬ハチ公も、そんな阿鼻叫喚の図は見たくないはずだ。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
写真/佐藤豊