スタローンの代表作『ランボー』シリーズ
ランボーは1982年から2019年まで5作品、実に37年もの長きにわたってシルヴェスター・スタローンによって演じられてきた。当然ながら、36歳だった第1作と73歳の第5作とではスタローン自身の身体の状態も違うから、ここでは、間を取って第3作『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)の不死身シーンを見てみよう。
ソ連軍の捕虜となったかつての上司で唯一の友人でもあるトラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)を救出するべく、アフガニスタンに乗り込んだランボー。首尾よく大佐を見つけるものの、ソ連軍に脇腹をボウガンで射られて重傷を負ってしまう。いったん退いたランボーは、なんと自ら脇腹の矢を抜くと、燃える木を傷口に突き刺して消毒する。何としても大佐を救い出したいという「不屈の闘志」ゆえに、自らの荒療治で傷が化膿しないように処置したのだ。
『SISU /シス 不死身の男』のアアタミにも、自ら肩口の傷を荒療治で処置するシーンがあるのだが、スタローンが『ランボー3/怒りのアフガン』のときに42歳だったのに対してアアタミを演じたヨルマ・トンミラは撮影時に63歳だから、シーンの迫力はなおスゴイ。
シュワルツェネッガーが体を張る『コマンドー』
スタローンの永遠のライバルであるアーノルド・シュワルツェネッガーもまた、不死身のヒーローを演じている。彼の場合、『ターミネーター』シリーズが不死身度でいえば最高だが、そちらは人間ではなくサイボーグなので、ここでは『コマンドー』(1985)で彼が演じたジョン・メイトリックスを見てみよう。
元コマンド部隊長のメイトリックスは愛娘と2人で平穏に暮らしていたものの、武装集団に娘を拉致されてしまう。南米某国の大統領暗殺を強要され無理やり南米行き飛行機に乗せられるが、娘を救出することを優先したい彼は、何とか監視役を倒し、飛行機からの脱出を目論む。
飛行機に乗せられたメイトリックスは、隣に座る監視役の男の一瞬のスキをつき、首を折って殺害。「連れは疲れて寝ているから起こさないで」とCAに伝えて席を立つと、貨物室から滑走する後部車輪の軸にしがみつき、時速100キロを超える離陸中の飛行機から池に飛び込んで脱出するのだ。
愛する娘(子役時代のメリッサ・ミラノ!)を取り戻すために体を張るメイトリックス=シュワルツェネッガーは、怒りや憎しみがモチベーションのアアタミとはまた違ったカッコよさがあるのだ。