×ブルーライトカットメガネをかけているから大丈夫
〇ブルーライトカットメガネはあまり効果がない
ブルーライトカットメガネは、どれくらいブルーライトをカットしているか?
ブルーライトカットメガネは、特に有害なわけではないけれども、よくもありません。あえて使うほどの意味はないというものです。
ブルーライトが目にダメージを与える可能性は、たしかに眼科の医学会で指摘されたことです。しかし、その先のブルーライトカットメガネの推奨は、学会主導ではなくメーカー主導で起こったものです。言ってしまえば、「新しいものを世に出し、売りたい」という商業ベースで普及してきたものなのです。
私自身、眼科専門医として、ブルーライトカットメガネは「悪くもなければよくもない」と言うしかありません。
すでに述べたように、ブルーライトが目にダメージを与える可能性は指摘されています。にもかかわらず、なぜ私がブルーライトカットメガネを特に推奨しないのかというと、それには理由があります。
ブルーライトを完全に遮断するレンズだったら、ものの色が違って見えるはずです。つまり現在、市販されているブルーライトカットメガネは、ブルーライトを完全にカットしているのではなく、30〜50パーセント程度が通常です。
つまり、こういっては厳しいかもしれませんが、ブルーライトカットメガネの効果はほどほどですから、医師としては否定しないまでも、特に推奨もしないというわけです。
ブルーライトをカットするより有効な策がある
ブルーライトが目にダメージを与える可能性は長く指摘されてきたとはいえ、実は、具体的にどんなダメージを与えるのかはいまだに判然としていません。一つ考えられるのは、ルテインが加齢と共に低下することで、ブルーライトの青色のダメージを受けやすくなることです。
ルテインは、見ているものの色彩や形をハッキリ捉える機能を果たしている「黄斑」に必要な成分であり、「天然のサングラス」とも呼ばれています。それが加齢と共に減少すると、ブルーライトの悪影響を受けやすくなる可能性があります。
この可能性をとるならば、40代以降のブルーライトカットメガネの使用は、青色のダメージから多少は目を守る効果が期待できる……かもしれないという程度にすぎません。
実はブルーライトカットメガネの使用群と不使用群とでは、目の健康度に有意差が見られなかったという臨床実験もあり、やはり、まだまだ判断がつきかねるというのが現状なのです。
本当にブルーライトを危惧するのなら、デジタルデバイスの使用時間を区切る、デジタルデトックスの日を定期的に設ける、デジタルデバイスの画面からの距離をしっかり確保するといった対策のほうが、よほど効果的といえます。
ちなみに「ブルーライトカット」をうたうフィルムをパソコンやスマートフォンのモニターに貼る、夜はスマートフォンを「ナイトモード」にするなどの対策は、まったく無意味とはいいませんが「気休め」程度と考えてください。
これらの対策をとっているからといって、休憩を入れずにパソコンを使い続けたり、真夜中までスマートフォンを見続けていいわけではありません。現に、ある調査機関が行った「iPhoneのナイトモード」の実証実験では、「有意差(効果)はなし」という結果が出ています。