SNSを始めた河本さんへの誹謗中傷
増田多朗理事長に関してもノートには『川崎幼稚園の職員を辞めます 廃園を願います』と記していたにもかかわらず、榛原学園の理事を継ぎ、川崎幼稚園の今後については『入園希望者がいる以上は園の継続をしなければならない』と廃園を否定している。
河本さんら遺族と榛原学園の隔たりは日に日に増しており、不信感も増すばかりだという。
そんななか、河本さんはX(旧Twitter)で事件の経過について情報発信を始めた。
「送迎バスの安全装置の義務化など行政が動いたこと自体はすごくいいことだとは思います。ですが、それですべてを終わりにされてしまいそうな感覚がありました。
事件直後はたくさんマスコミの方々が取材に訪ねてきました。何度もインターフォンが鳴っていたのですがそれも次第に減っていき、その後は一部の記者を除いてほとんど誰も来なくなりました。
このままでは事件が風化してしまうのではないかという思いもありました。それでSNSで全国に向けて発信することにしたんです」
SNSでの発信をするにあたっては、さまざまな誹謗中傷も受けたという。
「いろいろ言われましたね。『まだ言ってんのかこの父親』とか『辛いことならわざわざ掘り返すな』とか。千奈のことをかわいいと言っていたことに対して『ロリコンか。キモイ』なども言われましたね。
ただ誹謗中傷に対しては自分が耐えればいいことですし、あまりにひどい場合は法に基づいて行動すればいいだけだと思っています」
誹謗中傷のなかには『廃園、廃園と言うが今通っている園児はどうなるんだ』といった意見もあるが、これに対して河本さんはこう答える。
「そこについては榛原学園も『園児が大切だ』『子どもたちを守りたい』と主張していますが、僕が言いたいのは『だからこそあなたたちがやるべきじゃない』ということなんです。
ずさんな管理をしていたのが明らかになったわけですから、他の法人が運営すればいいだけです。
それなのに、ただ増田元園長が辞任して、その息子が継いでそのまま家族経営が行われています。
子どもを死なせても1ヶ月も経たないうちに再び運営が行える。こんなことがまかり通るべきじゃないんです」
増田元園長と当時の乗務員、元担任、元副担任がそれぞれ安全管理を怠ったとして業務上過失致死の疑いで書類送検され、1年たった現在も捜査は続いている。河本さんは刑事裁判にて「責任の所在」を明らかにした後、民事での訴訟にも踏み切るという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班