「視聴者を一刻も早く本編へ」。番組の意識がもたらすアイデア

では、これ以外の番組はどう始まっているかというと

(1)挨拶(おはようございます・こんにちはなど)
(2)さあ始まりました、◯◯◯
(3)番組名のみ叫ぶ
(4)コーナー名を叫ぶ、

大体がこの4類型に当てはまっていた。

「(4)コーナー名を叫ぶ」というのは、番組名はみんな知ってますよねの前提で「ハモリ我慢ゲーム!」とか「色鉛筆の才能ランキング〜」とかのように、コーナー名からいきなり入るパターンである。

これを見るとそもそもイントロに力を入れようとか、時間をかけようという番組が、だいぶ減っているのがよくわかる。とにかく一刻も早く本編へという感じである。

また、スタジオに司会者がいるにもかかわらず、スタジオパートからではなくVTRからヌルッと入る番組も多かった。

その場合、スタジオパートに初めて来たときが冒頭ご挨拶のタイミングになるのだが、指原莉乃の『ゼロイチ』(日本テレビ系列)に至っては、VTRを延々25分も見てから「さあ今週も始まりました!ゼロイチ」と言っていた。

こうなると何が番組イントロなんだかよくわからない。いきなりサビから入る歌みたいなもんだろうか。

さらには、タイトルバックだけで何も言わず始まる番組も多かったし、タイトルバックすらないものもあった。

現代の番組では、テレビ画面の左上あたりにテロップで番組タイトルが常に出続けているので、別にそれで困ることはないのかもしれない。

番組のオープニングから失われていったものとは…

こうなると「番組オープニング」という文化自体が廃れていくことを懸念してしまう。

かつての番組は長々と耳に残るオープニングテーマが流れたり、出演者の入場や紹介にもずいぶん時間をかけていた。
今、オープニング曲に長い時間を割くのは、一部のアニメ、NHKの朝ドラ、大河ドラマ、日本テレビ系列の『笑点』くらいである。

出演者紹介も多くの番組が名前テロップのみで終わらせがちで、現在は『アメトーーク!』(テレビ朝日系列)ですら、出演者が一人一人登場したり「僕たちは、◯◯芸人です」と言っていたりした箇所はカットされている。