ビートルズに代わる新しい音楽の創造と27歳の死

ビートルズに代わる新しい時代の音楽を作リ出す。その覚悟がジミに新たな想像力をもたらしたのだろうか。

8月26日にはニューヨークに建てた自身のスタジオ「エレクトリック・レディ・スタジオ」を開設。2年近くを費やしていた新しいアルバム制作は、ようやく完成に向かって動き出した。

「考えるだけで、ぞくぞくしてしまうんだ。俺は今とても幸せだよ。万事、うまくいくさ」

しかし、ジミの手でアルバムが完成することはなかった。
1970年9月18日、突如としてジミはこの世を去ってしまう。

死因は睡眠中の嘔吐による窒息で、寝る前に飲んだ酒と睡眠薬の過剰摂取が引き金となったようだ。ジミの死については様々な説が囁かれているが、今となっては真相を知る由もない。ただドラッグのせいで身も心も破壊されていたのは否めない。

この未完のアルバムは、1997年になって『ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン』としリリースされた。

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『ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン』のジャケット。生前、ニューアルバムのためにレコーディングしていた音源を基に編まれている。ヘンドリックスの右腕として活躍したエンジニアのエディ・クレイマーが制作を手がけた

ジミ・ヘンドリックスの登場はまさに革命だった。
卓越した演奏技術。独創的な感性。型破りなパフォーマンス。
そして何よりも彼自身から放出される圧倒的なエネルギー。
何もかもが規格外だった。

文/TAP the POP 写真/shutterstock

参考資料:
『ジミ・ヘンドリックスの伝説』クリス・ウェルチ著 菅野彰子訳(晶文社)
『ジミ・ヘンドリックスの生涯』トニー・ブラウン著 米持孝秋訳(シンコー・ミュージック)
『ジミ・ヘンドリックス~リアル・エクスペリエンス』ノエル・レディング著 高見展訳(宝島社)