ボンドと恋に落ちるヒロインの設定

『女王陛下の007』がリバイバル公開! 54年前の公開時は大コケだったのが今や「シリーズ最高傑作」と謳われる理由_1
『女王陛下の007』
Capital Pictures/amanaimages
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次に、ヒロインの設定とボンドとの関係性について。

『女王陛下の007』のヒロインであるトレイシー(ダイアナ・リグ)は、ヨーロッパ最大のシンジケート“ユニオン・コルス”の黒幕ドラコ(ガブリエル・フェルゼッティ)の娘で、問題ばかり引き起こすじゃじゃ馬だが、後にボンドはトレイシーに本気で恋をする。
ドラコは部下たちに指示してボンドを拉致させるが、最終的には愛する娘のためにボンドに協力し、犯罪組織スペクターの情報を提供することになる。

一方『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と『007/スペクター』のヒロイン、マドレーヌ(レア・セドゥ)は、スペクターの構成員としてボンドと対立してきたミスター・ホワイトの娘。彼はクレイグ版の最初の2作品に登場した悪役で、『007/スペクター』では愛する娘を救ってもらうことと引き換えに、ボンドにスペクターの情報を提供して自死する展開が描かれた。

さらに、物語に登場する場所や背景にも類似点がある。

『007/スペクター』で命を狙われているマドレーヌは、オーストリアのアルプス山岳地帯にあるホフラー診療所で隠れるように勤務しており、ボンドはそこを訪れ、スペクターの刺客からマドレーヌを救い出し、やがて彼女と恋に落ちる。

『女王陛下の007』では、ブロフェルド一味が若い娘たちを洗脳する場所として、診療所を謳ったスイス・アルプスの本拠地ピズ・グロリアが登場。ボンドはスペクター一味に拉致されたトレイシーを救出すべく、ピズ・グロリアへ赴くのだ。