「音出し応援の制限」を事業者が認めた
さらに、新しい神宮野球場では応援が現在より厳しく制限されることが決定的となっている。というのも、実は付近の都営住宅への騒音は移転前の現在でも環境基準55dbを超過している上、移転後は神宮野球場と都営住宅の距離が80m近づく(現在:160m→再開発後:80m)
ため、周辺住宅への騒音問題の悪化がかねて懸念されていた。
この問題を市民がプロジェクトサイトで質問した結果、事業者からは以下の回答が得られた。
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【質問】
・新しい神宮球場は北青山の住宅地域に近づくため、騒音(とくに夜間)がこれまで以上に大きくなるのではないかと危惧しております。 防音対策について教えてください。
【回答】
新球場から最も近い近傍住宅の騒音は、地上1.2mでは環境基準の55dbを満たしておりますが、神宮球場のスタンド高さ(約11 m)における予測結果は、現在のプロ野球開催時に比べ、4dBほど増加し、62dBとなる予測結果が出ております。この値は、東京ヤクルトスワローズの試合の際に球場の最上段で計測した値(83dB)から距離に応じた減衰を加味して求めております。
現在の神宮球場でも、運用面で主催者に自主規制のルールを設け、音を出せる時間、音源の数・種類を制限し、球場最上段でのdB 数の上限を規定するなど、対策を施し興行を開催しておりますが、新球場でも状況に応じて同様の自主規制ルールを設け、環境保全措置に努めてまいります。また、イベントの事前周知も徹底してまいります。
出典:プロジェクトサイト回答(2023年8月7日公表分)No11「音」
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新球場が住宅と近づくことで騒音が悪化する事実は、さすがに事業者も素直に回答で認めている。ちなみに事業者は地上1.2mでは環境基準を満たしていると言い訳しているが、例えば付近の都営住宅である北青山一丁目アパートは9階建てのため、騒音が悪化する例として挙がった約11mを超える高さに住む住民は多数いることになる。
そして特筆すべきは、その対策として現在も行っている自主規制ルール(音出し可能な時間、音源の数・種類の制限、球場最上段のdb上限の規定等)を挙げている点だ。事業者は移転後の騒音悪化を認めているため、新しい神宮野球場では音出し応援が現在より厳しく規制される可能性が高い。
このままでは、新神宮野球場はプロ野球ファン・大学野球ファンの観戦環境が悪化する可能性が高いように思える。強烈なビル風や、現実的でないパース図を見るに、そもそもプロ野球の興行をスムーズに行えるのかどうかも疑わしいと思わざるを得ない。
取材・文/犬飼淳
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