神宮外苑再開発は単なる「環境問題」ではない
市民の反対の声や専門家の提言を徹底的に無視したまま、ついに今年3月に東京都は神宮外苑再開発を本格的に開始。3千本を超える樹木伐採が現実になろうとしている。
工事開始を受け、4月1日に約260名の市民がヒューマンチェーン(人間鎖)による抗議活動を実施。建国記念文庫の森(ラグビー場移転によって樹木が全滅する見通しのエリア)を囲み、改めて市民の反対の意思が示された。
*現地参加した筆者の360度カメラ映像は以下のYoutubeで視聴可
奇しくも翌2日、音楽家の坂本龍一氏の逝去が公表。同氏は今年2月に神宮外苑再開発に反対の意思を示して小池百合子都知事へ手紙を送っていたため、この問題が改めて注目を浴びるきっかけにもなった。
しかし、この問題を樹木伐採や景観破壊による「環境問題」と捉えている方がまだ多いのではないだろうか?
また、有名企業(三井不動産、伊藤忠商事等)が事業者に名を連ねているのだから、誠実に情報公開した上で計画が進められたと信じているのではないだろうか?
残念ながら、答えはいずれもNoである。なぜなら、神宮外苑再開発は野球ファン(プロ野球、六大学野球)やラグビーファン、スポーツ愛好者(ゴルフ、フットサル、野球)にとってもデメリットしかなく、もはや「環境問題」の枠を超えているからだ。
また、東京都および事業者は、東京五輪招致と密接に関係して遅くとも10年前(2013年)から水面下で準備(規制緩和、契約等)を進めていたにも関わらず、その間は徹底して情報を隠し続け、抗議活動の活発化を遅らせた。
本記事では上記の問題点を中心に神宮外苑再開発の実態をお伝えしたい。
*さらに詳しい全体像は筆者のtheLetter「樹木伐採だけでなく、野球・ラグビーの文化も破壊する神宮外苑再開発の全体像」(2023年4月6日)参照