「街でギャルを捕まえてギャル語を引き出す」大仕事

ドラマのちょい役、バラエティー番組の1コーナーなど、仕事さえ選ばなければ、テレビにはちょこちょこと出ることができた。自分で言うのも恥ずかしいが、確かに顔は良いほうだったと思う。だが、他の人より飛び抜けて良いわけでもない。芝居がとりわけうまいわけでもない。バラエティー番組に出るたび、自分がなんの武器も持っていないことに気づかされるばかりだった。

そんなある日のこと、大きな仕事が決まった。『ロンブー龍』という、ロンドンブーツ1号2号さんの番組の1コーナーのオーディションに受かったのだ。

俺に与えられた役割は、街でギャルを捕まえてギャル語を引き出すこと。ロンブーさんがその言葉に似た面白い言葉で落とす、という流れだ。たとえば、ギャルが「チョベリバ」と言えば、俺がロンブーさんに「『チョベリバ』きました!」と振り、ロンブーさんがそれを上手に料理してくれる。

当時からロンブーさんの人気は凄まじく、彼らが街を歩くたびパニックになったことを覚えている。実際にご一緒すると、おふたりの素人イジリはとにかく面白かった。素人を巧みに操り、面白いエピソードを引き出し、決定的な面白ワードで笑いをとっていく。下克上の芸能界で、若くして名をなした天才たちの本領を見た気がした。

ロケは毎回楽しかったが、俺は次第に自分が芸人という生き方に憧れていることを感じていた。芸人の世界はいたってシンプルだ。「面白い人が売れる」。役者やタレントより、売れ方がハッキリしていて俺好みだし、その生き様はカッコいいと思った。

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運命を変えた「ショーパブ」との出会い

そして、運命の出会いが待っていた。何気なくテレビをつける。タモリさんに扮するコージー冨田さんが、いろんな人のモノマネをして笑いをとっていた。どうやら飲食店のようで、ステージを見ているお客さんが笑ったり、拍手したりしている様子も流れていた。エンディングでは原口あきまささんも出てきて、ふたりの掛け合いに会場は沸きに沸いた。どうやら「ショーパブ」と呼ばれる業態の店らしい。

俺はカラオケやキャバクラでモノマネを披露し、友人たちを笑わせていた過去を思い出した。モノマネなら自分もできる。それを武器にすれば、手っ取り早く売れるんじゃないか……。

新宿にモノマネのショーパブがあることを知った俺は、友人と3人で電車に乗り向かう。敵の本拠地に乗り込んで、お手並み拝見くらいの軽い気持ちだった。