亡き夫・上島竜兵に「最後はあれでよかったのかなって、その答え合わせはしたい」妻・光さんと竜ちゃんの “ばかやろう”と“ごめんね”の15カ月
2022年5月11日に急逝した「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さん(享年61)の妻でタレントの広川ひかるさん(52)。生前、上島さんの一番近くにいた広川さんだが、上島さんの死後、メディアの取材に応じることはなかった。そんな広川さんが、23年8月10日に本名である上島光の名で書き下ろしエッセー『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)を刊行。筆をとった真意、亡き夫‟竜ちゃん”への思いを聞いた。
ガン宣告なんて、竜ちゃんが亡くなったことに比べれば取るに足らないこと
上島さんが亡くなったあと、引っ越しもあったりさまざまな手続きに追われ慌ただしい日々を送っていた光さんが新たな試練に直面したのが、昨年の夏のことだった。弱り目に祟り目とは、まさにこのことだが、胸に‟しこり”が見つかったというのだ。
――その後、体調はいかがですか。
幸い早くに治療をしていただいたので、いまは大丈夫です。放射線治療を5週間、平日に毎日やらなければいけなかった時期はきつかったですし、ガンの宣告を受けたわけですからショックがなかったと言えば嘘になる。でも、竜ちゃんが亡くなったことに比べれば取るに足らないことっていうか、たいしたことはないですよ。
――光さんは元々芸人。最後に今後について聞かせてください。
私たち夫婦は子供がいませんし、自宅も賃貸だったので2人で作ったものといえば個人事務所しかないんです。竜ちゃんが亡くなったときに思ったのは、それをあと10年は続けたいってこと。1年が過ぎたので、あと9年。今後は、それを目標に頑張りたい。
本当は、何もしたくないし家で膝を抱えていたいけど、この1年は家族や友達、多くのかたに支えてもらってばかりだったので、これからはその人たちに元気な姿を見せられるように新たな一歩を踏み出していきたいと思っています。
取材・文/栗原正夫 撮影/下城英悟
『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)』
上島 光
2023年8月10日
1,650円
184ページ
ISBN:978-4041138595
「『竜ちゃんが世間から忘れられないように』とその思いで筆を執りました」
本書は、お笑い芸人・上島竜兵さんの妻・光さんによる書き下ろしエッセイです。
2022年5月10日、なぜ”竜ちゃん”は死を選んだのか――。亡くなる直前、ちょっと様子が不安定になっていた竜ちゃん。気づいていながらも、助けることができなかった悲しみ、悔しさ、無力感……。自分はいったいどうするべきだったのかと、今なお葛藤する心の内を初めて明かしました。
心に沸き上がる竜ちゃんへの「怒り」を赤裸々に綴りながらも、どうしても憎めない”竜ちゃん”と過ごした日々を振り返ります。抱腹絶倒の珍エピソード、そしてほろ苦い思い出。脳裏に浮かぶのは、竜ちゃんの小心で自分勝手で、でも人にとことん優しく、繊細な実像でした。
また、竜ちゃん他界後数か月、体調不良に襲われ、発覚した乳がん。重なる不幸を恨みながらも、ひとりで挑んだ心細くつらい闘病生活でしたが、親族や友人に支えられながらなんとか乗り越え、今を懸命に生きています。
「前向きな今日と後向きの昨日が繰り返す、悲しみと、とまどいの日々の中、私がどうやって今日まで過ごしてきたか。そして、自分勝手だけどキュートで繊細だった、私の大切な旦那様の話を、記憶が無くならないよう、忘れられないよう、思い出をかみしめながら書き記しておこうと思います」(本書『はじめに』より一部抜粋)。
◆◆本書目次◆◆
第1章 涙と笑いに包まれた葬儀
第2章 出会いと結婚、別れの日
第3章 夫婦の日々と志村けんさん
第4章 芸人仲間に支えられた「竜ちゃん」
第5章 「竜ちゃん」の後始末
第6章 終わりなき悲しみの向こうへ