老人もがむしゃらに働く時代
――なぜ、日本の労働市場では、人材の流動化が進まないのでしょう。
日本企業に変わらないことが大好きな人たちがいて、賃金も生産性も低い人たちが会社に巣食っているからでしょう。日本企業の経営権を握っている人たちが「変わりたくない」と言っているかぎりは難しいですね。でも、今までそうだったとしても、会社が反省をして、失敗を教訓にして、変わればいいのです。
――日本の人たちはこれまで、厳しい現実をあまり突きつけてこられなかった。あるいは現実を見ないフリをしているうちに、ここまで来てしまった。でも、これからは問題の先送りができない時代に突入したように思います。
少子化同様、ラストチャンスの時期に来ていると思います。会社に勤めていて、老後は安泰だと思っていると、遅かれ早かれ自分が持っている資産は枯渇します。枯渇したらどうするのか? 働くしかないんです。現役のときにどういう身分だったとかは関係なく、郵便局でデリバリのバイトをするとか、がむしゃらに働かねばならなくなる。
それはそれでいいと思いますが、人生後半に追い込まれるというのを予定していなかった人にとっては、あまり好ましい話ではありません。
拙著のなかでもっとも読者に読んでいただきたいのは資産運用のところです。副業はちょっとスキルが高いのですが、資産運用をしないと社会保障だけでは食っていけないのがこれからの日本の実状なのです。
現在のインフレ傾向はまだまだ継続する可能性があります。過去の歴史を振り返っても、変化が起こり始めた当初は「これは一時的な現象だ」と過小評価され、しばらくしてから継続的なものだとわかってくる。“痛い目”にあう前から、少し早いかなと思うぐらいのタイミングで準備しておくことが賢明です。拙著が皆さんの将来計画や資産防衛のために、少しでも役立てばいいなと思っています。
文/熊野英生 写真/shutterstock
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