同調圧力という心理的な「道具」

みんなが確固とした自分の意見を持たず、全体あるいは指導部の意向に合わせて、同じ方向性の考えを抱いて行動すれば、あれこれと議論する手間が省けるので、効率的だ。

そんな風に思う人は、少なくないのではありませんか?

この一見もっともらしい考え方の危険性については、ここでは省きますが、日本の社会は昔も今も、欧米などの民主主義が発達した国と比較すると、社会の中での優先順位として、「個人の自由」よりも「全体の秩序」を上位に置く傾向が強いようです。中学生時代の経験も含め、私は今までに何度も、そんな気分を味わわされてきました。

自由という概念を「わがまま」や「自分勝手」のように曲解し、厳しい校則で制限して「校内の秩序を守る」という教師は、日本の学校では珍しくないはずです。

そして、集団や共同体の秩序を維持するために、さまざまな形で活用されてきたのが、同調圧力という心理的な「道具」でした。

文/山崎雅弘

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#3『外国人が理解できない「義理チョコ」という同調圧力…バレンタインが「女性から男性へ贈るチョコ」に特化しているのは日本と韓国ぐらい。消えない性別による社会的役割』はこちら

『この国の同調圧力』(SB新書)
山崎雅弘
2023年7月6日
990円
264ページ
ISBN:978-4815619206
私たちを縛る「見えない力」から自由になるヒント

日本はなぜ、
ここまで息苦しいのか?


日本人は、なぜこれほどまでに「同調圧力」に弱いのか? 私たちの心と行動から自由を奪う「見えない力」をさまざまな角度から分析し、その構造を読み解き、正体を浮かび上がらせる、現代人必読の書。
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