「種雄の無念を晴らす」父の誓いもむなしく、捜査は数カ月で縮小

警察は当初、種雄さんの死を覚せい剤乱用による自殺ではないかと見立てたが、2018年4月、警視庁捜査一課がナイフへの血の付き方などに不審な点を感じ、捜査を再開。しかし12月、警察から種雄さんの父に、捜査の縮小が告げられたという。

種雄さんの父は会見で、やりきれない思いを吐露した。

「種雄が亡くなったときも、まともに捜査されず闇に葬られ、あきらめて生きてきました。それが12年後に再捜査していただけると連絡があったときは心から喜びました。種雄の無念を晴らしてやると息子に誓いました。しかし、捜査が始まり1年も経たないで捜査の縮小が告げられました。熱い思いで捜査に当たってくれた方々に、もう一度仕事をさせてください。再捜査をお願いします」

大塚警察署(撮影/集英社オンライン)
大塚警察署(撮影/集英社オンライン)

捜査が縮小した時期は、X子さんの現在の夫である木原氏が自民党情報調査局長に就任した直後だ。捜査の縮小に、X子さんが木原氏の妻であることが影響したのだろうか。

その点に対する考えを問われると、種雄さんの姉は「その辺の真実を私たちも知りたい」と切実な思いを明かし、「犯人がつかまったとしても、弟が戻ってくることはない。ただ真実を知りたい。知っていることがあれば言っていただきたいです」と訴えた。

地元の先輩や後輩にも慕われていたという種雄さん。会見で種雄さんの父は「やんちゃな子でしたが家族想いで、約束は必ず守り、人情に厚く、弱いものいじめだけはしなかった。子どものころは厳しく育ててきましたが、友達に父親である私のことを自慢していたということを聞いた時には、涙がとまりませんでした。種雄は私たちの大切な大切な息子です」と語り、涙を流した。

会見する安田種雄さんの遺族(撮影/集英社オンライン)
会見する安田種雄さんの遺族(撮影/集英社オンライン)

1999年に発行されたファッション雑誌には、バイクに腰掛けたり、腕を組んだりしてポーズを決める種雄さんが1ページにわたって特集されていた。

「183cmのバランスのとれた体型とワイルドな顔立ちで、女のコの絶大な支持をゲット!」と、1996年の雑誌の人気投票では1位を獲得したことも紹介されている。

「コワそうな外見とは裏腹に、内面は後輩思い。曲がったことが大キライな男気があふれる兄貴分なのだ」とも書かれており、周囲から頼りにされていた人柄がうかがえる。

そんな種雄さんは、2002年5月、同じく雑誌モデルをしていたX子さんと結婚。X子さんもまた学生時代からファッション雑誌でモデルをしており、メイクや私物が度々掲載され、特集が組まれることもあった

結婚当初は、仲がよかったという種雄さんとX子さん。2人の子どもも生まれたが、2006年には離婚話が出るほどに夫婦関係が悪化。そして、その年の4月に種雄さんは帰らぬ人となった。