ルイ・アームストロングが本人役で出演する
豪華で楽しいミュージカル

グレース・ケリーといえばモナコ公国の公妃になったことが一番のトピックですが、女優としては、アルフレッド・ヒッチコック監督のミューズのひとりとして有名でした。『ダイヤルMを廻せ!』(1954)『裏窓』(1954)『泥棒成金』(1955)、この3本はどれもスリリングで鳥肌の立つ名作です。ヒッチコック作品の中のグレースは常に輝いていたし、彼女なしでは成り立たない作品でした。

しかしアカデミー主演女優賞を受賞した『喝采』(1954)は、ヒッチコック作品とは似ても似つかぬ映画。飲んだくれの夫がいる悪妻を演じているんだけど、実は献身的な妻だとわかる謎解きがあってね。きらびやかなドレスとは無縁の、まったくの汚れ役でした。

そして私が何度も見た大好きな映画が、ビング・クロスビーやフランク・シナトラと共演した『上流社会』(1956)。

1940年の『フィラデルフィア物語』をリメイクした、豪華で楽しいミュージカル。ルイ・アームストロングが本人役で出演していたりしてね。いい楽曲が山盛りで、タイトル通り、アメリカ東部のリッチな「上流社会」に入り込んだ気分になったものです。