起業して芸人のセカンドキャリアを支援
2018年に「株式会社 俺」を設立。“夢諦めたけど人生諦めていない人のために”をコンセプトに、人材紹介事業やお笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」などを展開している。
「芸人時代は人のマネをしてはいけないと言われました。二番煎じになりますから。でも、ビジネスの世界では、いいものをとんどん取り入れて成果を出したら褒められる。ビジネスの手法はいくらでもあります」
「芸人ネクスト」は中北の経験なくして生まれなかった仕事だろう。
「ネタを書く・書かない、ツッコミ・ボケ、明るい、知的など8タイプに分けて、その人に合った仕事を紹介するようにしています。この人だったら、エンジニアがいいとか、接客業がいいとわかる。
一般のサラリーマンと比べれば年収が低いので、事業としてはあまり儲かりません。ただ、自分が就職活動で経験した嫌な思いはしてほしくない、その思いで続けています。上場企業に転職して、年収が20倍になった人はたくさんいます」
中北が芸人を引退してから10年以上が経った。もしできるのなら、あのときの自分にどんな言葉をかけるだろうか。
「お金をもらえることに安心してはいけない。『ずっと変わらず努力しましょう』と言うでしょうね。特別な才能がないことは自分が一番よくわかっています。だから努力しかない。
父親は書道や空手を長く続けていて、師範もつとめていました。地道に努力し続けるという資質は受け継いでいるのかもしれません。これと決めたら、ひたすらやり続ける」
自らが起業したことによって、中北はさらには大きな夢を持つようになった。
「50歳ぐらいまでに実現したいのは、自分の国をつくること。僕は王様になりたいんですよ。芸人のときよりも欲求が強くなってきていて、どこまでも上に行きたいと思っています。今の目標は王様になることです!」
元芸人の“敗者復活戦”
#1 笠川真一朗(芸人→プロバスケットボールチーム広報)
#2 カネシゲタカシ(芸人→漫画家)
取材・文/元永知宏
編集・撮影/一ノ瀬 伸