ドラクエのライバルたち
そしてそのころ、ドラクエシリーズの大ヒットを受け、当然の流れとして他のゲームメーカーもRPGを開発して次々とファミコン市場に投入していきます。
いわば日本で最初の「RPGブーム」が起こったわけですね。
任天堂『MOTHER』、ナムコ『デジタル・デビル物語 女神転生』、データイースト『メタルマックス』、ハドソン『桃太郎伝説』など、後にシリーズ化され、各社の看板作品となっていく作品も多いなか、特に注目されたのがスクウェアの「ファイナルファンタジー」シリーズでした。FFのヒット要因についても詳しくは後述しますが、数あるドラクエフォロワーのなかでも突出したクオリティのゲーム内容と、天野喜孝さんによる本格ファンタジー感溢れるパッケージイラストで、親しみやすくポップなドラクエとは真逆のイメージを作り上げていきました。
この時期の国産RPGの盛り上がりは、今から振り返ると「狂騒」と表現してもいいレベルのもので、1986年に『ドラクエ』が発売されてから翌年には『ドラゴンクエストⅡ』初代『ファイナルファンタジー』(FF)、翌々年には『ドラゴンクエストⅢ』『ファイナルファンタジーⅡ』(FF2)、1990年には『ドラゴンクエストⅣ』(ドラクエ4)『ファイナルファンタジーⅢ』(FF3)と、ほぼ毎年か、ちょっと間隔が空くときでも2年に1本のペースで両シリーズの本編新作が発売されています。4年から5年に1本のペースが当たり前になっている現在の状況と比べると、信じられない程のハイペースです。
1990年末にはすでにファミコンの後継機にあたるスーパーファミコンが発売されるので、ファミコン時代における国産RPGの進化は1986年から1990年のわずか4年間にギュッと凝縮された濃密なものでした。