金を借りて紗菜ちゃんにネックレスを買った

中学時代に同じクラスだった別の男性も、伊藤容疑者の変ぼうぶりに驚きを隠せなかった。

「転校生なら普通緊張したりするのに、2年の最初に転校してきた伊藤くんは初日から『よろしく!』と元気よくあいさつして、あっという間に溶け込んでいましたね。ひょうきん者で冗談を言ってみんなを笑わせたり、クラスの中心人物でムードメーカーでしたね。授業中に仲のいいメンバーと騒いだり、ふざけたりしていて先生に一番怒られていた印象があります。

地元のサッカークラブに入っていたらしくすごく上手で、中学の球技大会でもサッカーで大活躍していました。勉強はあまりできる方ではなくて、女性にモテるイメージもなくて、バレンタインデーでは自分から女の子に『チョコちょうだい!』とせがんでいました。でも、トラブルを起こすような、いわゆるヤンチャな感じではなかったので、今回の事件にはびっくりです」

中学時代の伊藤容疑者(知人提供)
中学時代の伊藤容疑者(知人提供)

モテないキャラも「売り」にする、ひょうきんな人気者。しかし、親友には一途で思い込みが激しい一面と、精神的な脆さもさらけ出していた。中学時代からの親友だったという男性が表情を曇らせて言う。

「ハルキとはもともと同じグループで、3年前まですごく仲がよかったんです。でもあいつは紗菜ちゃんと付き合い出してからだんだん変わっていって、結果的に俺らから離れていきました。紗菜ちゃんとも会ったことがあります。当時はおとなしくて普通っぽい可愛らしい子って感じでした。ハルキは18歳ぐらいから飲食店でボーイとして働きはじめて、2年前に蒲田の飲食店に移り、そこでキャストとして働きだした紗菜ちゃんと知り合いました」

伊藤容疑者は出会ったばかりの冨永さんを『紗菜ちゃんは可愛い、可愛い』とぞっこんだったという。「だいぶハマっているな」と、親友だった男性は感じたという。

「ハルキって女を好きになると思いつめる傾向があって、『俺のものだから』って感じになるんです。中学時代に付き合っていた女性にフラれたときも、LINEのタイムラインに自殺するだの、もう死ぬ、とかメンヘラっぽいことを投稿してました。そういう一途な部分があるんです。
紗菜ちゃんと付き合うようになると、男友達の誘いを断ったりするようになりました。仲間から『家賃が払えないから』とお金を借りて、そのお金で紗菜ちゃんにネックレスを買った挙句、金を返さないようになりました」

変貌した伊藤容疑者(本人SNSより)
変貌した伊藤容疑者(本人SNSより)

さすがにこの時、男性は苦言を呈したと言うが、伊藤容疑者はそれに向き合おうとはしなかった。

「結果、ハルキは離れていってSNSで俺らをブロックしました。ケンカもできないヤツだったので、事件で紗菜ちゃんを刺したと聞いたときは本当にびっくりしました。これは推測だけど、『男友達を蹴ってお前を選んだのに』っていう思いもあったんだと思います」