孤独で結婚相談所に登録
――これまで結婚したいと思った女性はいない?
実は12年前に、本気で好きになって同棲した女性がいました。性格も冷たいし、保険証も持っていないようなちょっと問題のある子だったんですが、好きだから我慢できた。
でも結局、結婚には至らず半年で終わりました。
人間って期待を持ってしまう生き物……これからもっと理想に近い女性が現れるかもしれないと思いながら、もう51歳になってしまいました。
――頼朝さんの理想の女性とは?
今まで生きていた経験から内面のポテンシャルが大事かも。
お付き合いするってお互いの理念、価値観が変わるくらいの摩擦、刺激や発見があってこそ。
その縁が初めてお互いを育ててくれるための、一期一会となる。リスペクトできる部分あれば、多少の不快もお互いカバーできるものですよね。
マストとして料理好きな方がいいです。それに合わせて僕がワインをサーブして……。
――女性のどんな部分をリスペクトするんでしょうか。
容姿は、素顔にその人の子供のときから変わらない純粋さが垣間見える人。少しアホっぽいキャラの方がほぐれるからいいですね。
私の価値概念上、「馬鹿」「阿呆」「間抜け」は肯定的な言葉として認識しています。
馬も鹿も歴史上、天の乗り物で、“〇〇馬鹿”とはそれに打ち込んだ人を描写した言葉ですし、阿呆は阿字観の阿、密教では重要な宇宙観でそれを保った心の状態の人のことを言います。
間抜けはその人の心から魔が抜けていることです。
そういう部分を持つ異性が好きですし、私自身もそうなりたい(笑)。
信仰心はあったほうがいいけど難しいので、むしろ無神論者の方がいいかな。
お互い生物的に嗅覚や触覚、聴覚でなんとなく一緒にいたい思いを継続できるので、見た目より、この3要素のほうが重要です。
――理想を追い求める日々に孤独を感じることは?
毎日孤独との戦いですよ(苦笑)。
一昨年、50歳を迎える寸前右目に網膜剥離を患って失明しそうになり手術をしたんです。
局部麻酔だから意識がはっきりとあるなかで、網膜を引っ張り上げて、剥がれた網膜を元に戻したりしたんですが、その作業がもう怖いし辛いし……。
優しい先生だったのが唯一の救いでした。
――コロナ禍の入院生活はお見舞いも制限されて、大変だったでしょうね。
入院中も誰か見舞いも来てくれるわけじゃないから、不安は増して、自分との戦い。
元気なときは自由で楽なのですが、この経験から孤独を痛感したので、入院中に初めて結婚相談所にノリで登録してしまいました(笑)。「人間、ひとりではやはりダメだ!」と。
――なんと! どうでしたか?
しばらくしてまた忙しくなったんでなんとか我に返って、実際に相談所に出向くことはありませんでした。
たぶん経歴に元ホストって書いてる人は結婚相談所に行っても選ばれないですよね(笑)。
――いつか理想の女性に出会えるといいですね。
そうですね。人間ってひとりで死ぬし、結局、最後は孤独との戦いなのだと思います。ですが結婚、恋愛は生きた証。この先もずっと求道していきたいなとは思います。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/池上夢貢