「離婚した方がいい」などと
軽々しく言う人はたくさんいた

昭恵が森友問題などで騒ぎになった際、「離婚した方がいい」などと軽々しく言う人はたくさんいたが、安倍にとって昭恵がどれだけ有難く、また申し訳なく思う存在であるかを考えてみなければならない。 

難病の病人の世話は大変だったろう。普段はやさしい安倍でもイライラしてきつく当たる時があったかもしれない。しかしそんなことがあっても昭恵は安倍には「嫌なところがひとつもない」と言う。 

「昔は『主人のどこがいいですか』と聞かれた時に、『どんな人にも同じ態度を取れる人だ』っていう言い方をしてたんです。35年間いっしょにいて『どこがいいですか』と聞かれると……嫌なところがないんですよ。

だいたい人間、付き合ってると、この人のここが嫌だっていうところが見えてくる。そこは目をつぶろうとか。でも、そういうところが全くない。まあ、わたしの話をもっと聞いてくれないかなとか、多少はありましたけれど。絶対この人のここが嫌だからとか、嫌いになっちゃいそうっていう部分がない。ずっといっしょに生活しながら、これだけ嫌なところが見えない相手は、他にいないだろうなって思っています」

この二人の愛は、世間が思っているよりも、ずっとずっと深いものではないだろうか。

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『安倍晋三・昭恵  35年の春夏秋冬』(飛鳥新社)
大下英治
2023年5月18日
1800円
300ページ
ISBN:978-4864109543
『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)がふれなかった
愛と真実の物語!


増上寺で行われた安倍晋三総理告別式で、昭恵夫人が挨拶でこう言った。

「十歳には十歳の春夏秋冬があり、二十歳には二十歳の春夏秋冬、五十歳には五十歳の春夏秋冬があります。(略)政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして、最後、冬を迎えた。種をいっぱい撒いているので、それが芽吹くことでしょう」

父・安倍晋太郎氏の秘書官時代から40年。
安倍晋三・昭恵夫妻をいちばん数多く取材してきた作家・大下英治が初めて明かす
人間安倍晋三と人間安倍昭恵
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