放課後に毎日5本ペースでフェイクニュースをつくる高校生

「放課後に毎日5本ペースでフェイクニュースをつくっているという高校生が言うには『クラスでも4割くらいがやっているよ』。自宅での取材時に母親がいたのですが、驚いたことに母親は息子を叱るどころか『もっとやれ』と。『ちゃんとつくりなさい』と催促し、キーボードを打つ子供の手が止まると『私が助けてあげる』と言って手伝うのです。著名な女優の名をあげて、『怪我したとか、大変な目にあった、みたいに書けばいいじゃない』『そうだね、お母さん』というやりとりにはビックリしましたよ」

そうして得たお金でBMWやベンツといった高級車を買う。「ボロボロの車だらけの村に、突然ピカピカの高級車が走っている光景は異様でした」と佐野氏は当時を振り返る。

 「馬鹿が俺らの嘘を本気にしている」…フェイクニュース製造村に潜入! 極貧地域、クラスの4割が毎日5本執筆の実態_4
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主義・主張に関係なく、ここまでカネ儲けに走るのは驚きだ。プラットフォーム側も規制を試みているが、まるで「いたちごっこ」のような状態が続いている。

やはり、特定の情報の真偽を議論すること以上に、情報分析には情報の利用目的やタイミングの観点から背景を読み解くことが求められる。フェイクニュースも含めた世論工作が氾濫する現代社会において、情報を読み解くスキルを持つことは欠かすことができないものとなるだろう。

#2「誰が週刊朝日を殺したのか…週刊誌は4年後に全滅する」はこちら
#3「ヤフコメで「いいね!」を集める40代劇団員の手法とやりがい…」はこちら

『週刊誌がなくなる日 - 「紙」が消える時代のダマされない情報術 - 』
(ワニブックスPLUS新書)
小倉 健一
「馬鹿が俺らの嘘を本気にしている」…フェイクニュース製造村に潜入! 極貧地域、クラスの4割が毎日5本執筆の実態_5
2022/8/22
¥990
216ページ
ISBN:978-4847061974
コンビニから雑誌コーナーがなくなり、都内の書店も減少傾向にある現在。スマホで誰もがニュースや新聞を読める中、紙の週刊誌は消滅の危機にある。電子書籍化、ウェブサイト化も進んでいるが、勝ち組・負け組の格差は広がるばかり。メディア戦国時代をどう生き抜くか。読者はどう効率的に情報を収集すべきか。元『プレジデント』最年少編集長が解説するメディアの現在と未来。

○内容より
第一章:メディアの最前線で何が起きているか
第二章:紙のメディアは5年で消える
第三章:儲かるメディア、死ぬメディア
第四章:デジタル化で起きる大問題
第五章:メディアを使い倒せば情報強者になれる

発行:ワニ・プラス
発売:ワニブックス 
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