世論工作は、政党、メディアだけでなく、
一般市民からの場合も

その後、大統領に就任すると、自分が気に食わない記事に「フェイクニュース」のレッテルを貼ることが増え、ジョー・バイデン氏との大統領選に敗北した時には「選挙で不正が行われた」というフェイクニュースをツイッターに投稿。さらには支持者を扇動したとして、ツイッターを「永久追放」されてしまった。

そして、米国のテスラCEOであるイーロン・マスク氏がツイッター社を買収する以前、「(ツイッターは)一見、穏健に見えるが、強い左派のバイアスがかかっている」「言論の自由を守る」として、トランプ氏の永久追放を「正しくなかった」と発言。その上で「誰もが自分の意見を述べることができる場でなくなれば、根本的な信頼を損なってしまう」と述べた。ホワイトハウスのサキ大統領報道官(当時)は2022年5月10日、マスク氏の発言を受けて「誰が許され、誰が許されない、という判断はプラットフォームを運営する企業が決めるべきだ」「オンラインプラットフォームが言論の自由を守ると同時に、間違った情報の発信源にならないことを望む」と語っている。

「馬鹿が俺らの嘘を本気にしている」…フェイクニュース製造村に潜入! 極貧地域、クラスの4割が毎日5本執筆の実態_2

言論の自由は、最大限に認められるべきなのだ。しかし、プーチン氏やトランプ氏のようなケースについては、受け取る側が「フェイク」を見抜く力をつけていかねばならないだろう。フェイクニュースをつくるのは、決して権力者側だけではないことにも注意した方がいい。

誰もが騙される当事者であると同時に、騙す当事者でもあるのだ。世論工作は、政党、メディアだけでなく、一般市民が自ら信じる組織のために実行しているケースも多い。