雑誌コーナーが消えたコンビニ…「雑誌売り上げ1%」
2022年初夏、東京・墨田区の両国1丁目に新しいローソンがオープンした。だが、その広い店内に「雑誌コーナー」はない。小さい店舗ならば、それも理解できるが「大きな店舗なのに?」という経験が珍しくない時代に入っているのだ。
インターネット上でも、コンビニオーナーと思われる人による「雑誌コーナーをつくるより、AmazonやNetflixのプリペイドカードを置いた方が儲かる。雑誌はいらない、というより、邪魔だ」というような投稿も、ネット上で見られるようになった。
コンビニの売上に「雑誌コーナー」が占める割合は、日販のデータによれば2002年の7%をピークに年々下がり続けている。今では1%程度で「低位安定」している状態だ。ちなみに、タバコは25・8%。余談だが、コンビニは、あまり知られていないものの、今もタバコに経営を依存する業態ともいえる。
「雑誌売上1%」といっても、近年、宝島社の出版物に見られるように「おまけ付き」の雑誌が増えている。実態は、立派なステンレスボトルやブランドのカバンなどに「雑誌がおまけ」として付いているようなものが目立つ。これでは、もはや雑誌というよりも「雑貨」だろう。コンビニにとって雑誌コーナーは、場所を取る割に売上が低い。さっさと撤去してもいいとみられているのかもしれない。
むしろ、わずか1%の売り上げにもかかわらず、雑誌コーナーを残しているコンビニはなぜそうしているのか、不思議に思えてくる。
それは、どのような経営判断からきているのか。
コンビニの特徴といえば、「目的なく、立ち寄る人」の割合が多いことだ。「2、3日分の食事の材料を買いに行く」などの目的意識が明確なスーパーと比べ、コンビニは1日のうちに何度も来店するリピーターも多い。「朝食を買いに」「ATMでお金をおろしに」「新しいカップ麺はないかなと探しに」などと様々なタイミングや目的で訪れている。無目的でスーパーやドラッグストアに入る人は少ないだろうが、「ヒマ潰しに」などコンビニに足を運ぶ動機は他の店とはちょっと違うのだ。
また、単身者の割合も多い。家族のために買い物に来るのではなく、コンビニは自分のために買い物に来る場所なのだ。そのために「実用性が高い」「コスパがいい」ということよりも、「驚き」「好奇心」などが品揃えの中で重視されていく。