高齢者ばかりの支援員、疲弊して動けない
「集英社オンライン」ではこれまで、共働き家庭等の小学生を預かる「放課後児童クラブ」こと学童保育の実態について報じてきた。
すし詰め状態の「放課後児童クラブ」では数多の問題を抱えており、♯1 ♯2を報じて以降、学童関係者や利用者から様々な感想や意見が寄せられた。
今回、話を聞いたのは関東からほど近い地方都市の放課後児童クラブ(いわゆる学童保育)で働くベテラン支援員女性Aさん(40代)だ。Aさんの職場には高齢の支援員が多いという。
「うちでは70代、80代の支援員が多く働いています。でも、60代以上になると、ザ・昭和っていうか、今の子どもにまったく合わない、時代遅れな対応をしてしまう人が多くいます。優しい支援員さんもいるんですが、言葉づかいが粗かったり、声が大きくて怖かったり、なかには子どもに手をあげてしまう人も。
運営者には『年配の支援員が乱暴な保育をしているので、しっかり管理しないといけないんじゃないか』と伝えていますが、あまり改善されません。しかも、そんな高齢の支援員もフルタイムの人数としてカウントされている。
ですが、はっきり言って仕事量ではとても『支援員一人分』にはカウントできません。長時間、若い支援員と一緒に働くと『ああ、疲れちゃったー』と座り込んじゃって、送り迎えのご家族に対応をしなかったり、ケガをした子がいても知らない顔をしたり、『今日は外遊び、やらなくていいんじゃない?』とか言いだすんです。
私としては『それは子どもが決めることで、あなたが決めることじゃない』って思うけど、若い支援員は年上の方には強く言い返せなかったりします」
現場を牛耳る“高齢者支援員”の重圧に耐え兼ね、Aさんの働く学童保育では、若い支援員の離職率が高いという。
「高齢者だからダメと言いたい訳じゃないです。昔ながらの遊びを教えてくれる方がいたり、和やかでいい面もある。それこそ14時半から忙しい17時半くらいまでとか、短時間だけ来てくれるなら助かります。
実際、市区町村によっては、短時間だけ最低賃金で来てもらうようにしているところもあって、そういう雇用の仕方はすごくいいと思います」
Aさんの年収は100万円、現状はシフトをいれたくてもいれてもらえない雇用形態にも不満を抱いている。
「私たちの学童は『扶養の範囲内』で雇われていて、社会保険にも入らせてもらえないのでちゃんと雇ってほしいです。補助金が少ないから、運営者は、支援員みんなが年収100万で済むように調整しています。そのために支援員の人数が必要になる。これでは若い支援員が定着しません。
現状は日替わりで支援員がコロコロかわる“ブラック学童”で、児童が支援員の名前を覚えることもなかなか難しい。こうしたことが大きな事故につながらないか心配です」