リアル店舗が生き残るために必要なものは? 「リアル店舗とデジタル接客とのハイブリッドなブランド体験」―アマゾンが体現したウォルマートに続く世界ナンバー2の小売業に成長した靴のEC
EC(ネット通販)の台頭、人手不足、地方の過疎化などの影響で、百貨店や商業施設、ブランドの路面店など、リアル店舗の統廃合が急ピッチで進んでいる。そんな現状を変えるために「オンライン接客」を可能にするサービス「スタッフスタート」を展開する株式会社バニッシュ・スタンダードの代表取締役社長の小野里寧晃氏と大前研一氏による対談を『リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ「店舗スタッフ」にECを任せよ~』(日経BP)より一部抜粋・再構成してお届けする。(前後編の後編)
リアル店舗を救うのは誰か#2
有名ブランドであることの重要性が増してくる
大前 日本の構造変化にもつながっているけれど、一つは、ますますブランドが重要であお金に換えることを日常的に行う人が増えている。メルカリでは、中間領域のブランドは売れにくい。となると、最初に新品で買うものは3年後にも売れそうなものに購入基準がシフトする。そうして、変わらずその価値が分かる有名ブランドであることの重要性が増してくる。新規性で売っていたものや中途半端なものはダメになる。
小野里 新しいビジネスモデルの企業やブランドも出てきていますね。
大前 特に中国から出てきた「SHEIN(シーイン)」はすごい。ジャスト・イン・タイムで100着ぐらいの小ロットでどんどん作って、米国や欧州、中国以外のアジアで売っている。売上高はすでに2兆円あり、時価総額はユニクロを抜いたといわれている。ユニクロは大量生産で何百万枚、何千万枚も作って世界の店で販売するから、半年から1年後ぐらいの商品を作っている。
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一方、SHEINは1週間ごとに商品がごろごろ変わる。どこまで持続可能なモデルなのか分からないが、こういう新しい会社が生まれていることは感慨深いし、「H&M」のヘネス&マウリッツや「ZARA」のインディテックス、そしてユニクロ的なところは全部ひっくり返すかもしれない。
僕は業界全体の構造変革を見続け、追いかけてきたが、世界中には賢い経営者がたくさんいるとつくづく思う。バニッシュ・スタンダードは日本の中でも極めてユニークなビジネスモデルがあるので、面白いし、日本にとっての福音だと思います。
前編はこちらから
『リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ「店舗スタッフ」にECを任せよ~』(日経BP)
小野里 寧晃
2023年3月25日
1787円(税込)
288ページ
ISBN:978-4296201198
「このままいけば、リアル店舗は『死ぬ』」――。
EC(ネット通販)の台頭、人手不足、地方の過疎化など、社会環境が大きく変わる中で、百貨店や商業施設、ブランドの路面店など、リアル店舗の統廃合が急ピッチで進んでいる。
そんな現状を変えようと奮闘しているのが、店舗スタッフによるコーディネート投稿など、「オンライン接客」を可能にするサービス「スタッフスタート」を展開するバニッシュ・スタンダードだ。サービス提供開始から僅か6年で年間経済効果は1500億円を突破、導入ブランドは2100以上と、快進撃を続けている。
本書では、同社を率いる小野里寧晃(おのざと やすあき)CEO/代表取締役が初めて明かす、「リアル店舗復活のための処方箋」が余すことなく語られている。
すべてのカギを握るのは、アパレルやコスメ、百貨店、家電量販店、家具・インテリアなど、あらゆる業界のリアル店舗で働く「店舗スタッフ」だ。店舗で培った接客ノウハウをオンラインでも発揮することでファンを獲得し、EC売り上げを最大化。その貢献を適正に評価してスタッフ個人や店舗にインセンティブを還元していくことが、リアル店舗を守ることにつながると説く。
その効果は絶大で、スタッフスタートを活用した投稿経由のEC売り上げの最高記録は、店頭の約100倍に当たる月間1億3000万円に到達。ECで月1000万円以上売り上げる店舗スタッフも200人以上と、リアル店舗とECを股にかけて活躍するOMO(オンラインとオフラインの融合)時代の「令和のカリスマ店員」が、全国で続々と誕生している。
従来、企業が推進してきた「オムニチャネル」は、なぜ失敗ばかりだったのか。店舗スタッフ起点のOMOに取り組む先進企業は何が違うのか。令和のカリスマ店員はなぜ売れるのか――。本書では、豊富な事例を基に数々の疑問を分かりやすく解き明かし、リアル店舗の明るい未来を描く。
「店舗スタッフこそ、最強のビジネスモデルである」
企業の経営層、EC担当者、店舗のエリアマネジャーのみならず、すべてのビジネスパーソンは、今すぐ認識を改めるべきときに来ている。また、「当事者」であり、リアル店舗の「救世主」である店舗スタッフの「あなた」にとっても必読の一冊となる。リアル店舗はもう1店も潰さなくていい!
大前研一氏 推薦!
「『あなた(店舗スタッフ)の努力で人生を変えていける』。これが、バニッシュ・スタンダードの事業の他との一番の違いだし、この観点から事業を組み立てた人は今まで日本にはいない。『怒りと愛』を原点にした、『日本一のビジネスモデル』だ!」