銀座のショッピングの変革

小野里 教育は本当に重要ですね。僕たちは今、店舗スタッフの評価制度も重要だと感じていて、その在り方を模索しています。今、ECが伸びる半面、リアル店舗はどんどん苦しくなっていて、このままではブランドの本質を伝えきれない状況になると危惧しています。ECだけでは自動販売機でモノを買うみたいな、便利だけど味気ないことになる。店を残すには、個人が評価されるだけでなく、その店自体が評価されるような仕組みが必要だなと思っています。

大前 米国でもリアル店舗は次々と成り立たなくなっている。今は好立地は高いけど、長い目で見ると、店舗の不動産が安くならざるを得ないということだ。その証拠に、今日本で一番高いのは銀座の松坂屋があった辺りで、再開発してGINZA SIX(ギンザシックス)にお色直ししているけど、モノを買っている人、ショッピングバッグを抱えて出てくる人は少ない。

リアル店舗が生き残るために必要なものは? 「リアル店舗とデジタル接客とのハイブリッドなブランド体験」――アマゾンが体現したウォルマートに続く世界ナンバー2の小売業に成長させた靴のEC_3

それでも好調なブランドはあるわけで、ECに慣れてしまうとリアル店舗での買い物になかなか戻らない。それでも店舗がなくなるということはあり得ないと思うし、あったほうが買う人は安心する。

そして、店舗スタッフの方から、お客さまを取り上げてはダメだ。その店やブランドへの信頼を獲得しているのは、そのスタッフなんだから。お客さまはそのスタッフのもので、お店はアグリゲーター(集める組織)。だから、販売手数料ではないけれど、何分の1かのフィーがその人に入るようにし続けなければ。

その権利を奪ってしまったらインセンティブがなくなり、モチベーションが下がる。店舗スタッフたちにはデータベースを含めて情報を開放し、そのベネフィットを受けられるように維持してあげることが重要だ。

小野里 僕は、リアル店舗とデジタル接客とのハイブリッドな購入体験やブランド体験が、その答えの一つだと思っています。