「独身でいるから孤独死するんだ」は間違い

──幸せであることが大事だと分かったのですが、結局“晩年、ひとりで寂しく死にたくない”という思いも出てくる人がいるかと…。非婚者が孤独死を避ける方法はありますか?

マスコミが孤独死の恐怖を煽りすぎですよね。結婚したところで、配偶者とはやがて死別し、最終的にはひとりになります。割合でいうと、今の孤独死は75歳以上の高齢者がほとんどですが、今の75 歳以上の高齢者は皆婚時代の人たちで、かなりの割合で既婚者だったわけです。

つまり「もとはみんな結婚してたじゃん!」ってことになるわけです。統計をねじ曲げて、「未婚だから孤独死するんだ」みたいな話にし、孤独死をことさらグロテスクに表現することによって、ひとりで生活していることは、すごく「悪いこと」なんだよっていうことを印象付けようとしているように感じます。

結婚して、子供が生まれたっていずれ独立するし、離婚することもあるわけで。またひとりに戻る可能性は全員にあります。そういうことが前提となったときに、自分はひとりで生きられるのかって話なんです。

それを考えている人間と考えていない人間では大きな違いがあるんですよ。その生涯で結婚するのか、しないという小さな話ではありません。たとえ結婚しても、今の状態が未来永劫続くもんだと思っていることの方が危ういんですよ。

オタクの人の幸福度は年収 500万以上の人と同じ!? あえて結婚しないことを選んだはずなのに本当に幸せなのか……2040年には独身者が5割になる日本で、“おひとりさま”でも幸せに生きることとは_2

──ゆくゆくは自分ひとりで生きるために、どんなことを準備しておくべきでしょうか?

人は会社に入ったり、家族を作ったりしてそのメンバーになると、この所属するコミュニティというものだけに依存します。いわゆる城壁を作って、その内側にいるものは仲間で、外側は敵だ、みたいな。

それは、決して悪いことではありません。所属するコミュニティ自体は、その中にいることによって安心を提供され、それがあるから人とつながることもできますから。しかし、それだけに唯一依存してしまうのが危険なんです。

所属するコミュニティを例えば大きな船だとした場合、その船が安全に運行してれば目的地に連れてってもらえますけど、タイタニックみたいに沈没する可能性だってあります。
沈没したら泳げない人は溺れ死ぬだけ。そうならないために「泳ぎの練習してますか?」って話です。

所属するコミュニティは、もちろんあった方が安心できますが、それだけじゃなく、それとは別に所属に依拠しない「人とのつながり」もそれぞれあった方がいい。
それが私の提唱している「接続するコミュニティ」の考え方です。