ドラマになったことで読者層が一気に広がった
――そこで初めて会ったとき、隆太さんから見た先生の印象は?
佐藤 ちょっと不思議な言い方かも知れませんけど…意外性はあまりなかったですね。
石原 それ、よく言われます(笑)。
佐藤 僕が大好きな『3名様』から勝手に思い浮かべる、イメージ通りの空気感を纏っていらっしゃると言いますか。印象的だったのは、現場にいらした時、先生の物腰が柔らかすぎるくらい柔らかくて。僕らとしては、「先生の作品があってのドラマですから!」って言うんですけど、ずっと先生は「いやいや……」という感じで。
石原 ずっと裏でカメラのコードを避けながら見ていました。
佐藤 ホントにこっちが、「ありがとうございます!」って気持ちなんですけど、むしろ先生のほうが、「ありがとうございます!」ってスタンスでいらっしゃって。
石原 それは本心なんです。(最初の版元だった)小学館の編集者ともよく話すんですけど、もし実写化がなかったら、これだけ長く続いてなかったと思います。すごく狭い層だけが読む漫画で終わっていた。でも、ドラマになったことで女性も読んでくれるようになって、読者層が一気に広がりました。
だって、キャストの3人が『THE3名様』として「笑っていいとも!」に出たことがありましたけど、あのときが一番重版かかりましたからね。これだけ成功した漫画原作のドラマって、そんなに多くはないですし、本当に感謝しています。
――漫画の実写化における幸福なケースですよね。原作者も出演者も満足していて、しかも大ヒットした。これだけドラマ版が支持された理由は、どこにあると感じていますか?
石原 最初は正直、どういうドラマになるんだろうと思ったんです。3人とも若くてイケメンですから。
――原作のキャラクターとは似ても似つかない。
石原 でも完成した映像を観たら、びっくりしました。「漫画の3人がいる!」って。役者さんのすごさが初めてわかりました。塚本さんなんて、「ミッキー」にしか見えない。こうして自分の作品が実写になって、初めて役者さんの力を実感しましたし、それが魅力になっているんだと思います。