「山に捨てられるかと」
未だに意味不明なサプライズ
――ただ、まこちん先生は担当編集から、「実写化はないだろう」と言われていたとか。
石原 100%ないって言われてました。
佐藤 先生はどのタイミングで実写化を知ったんですか?
石原 おそらく、編集部に実写化の相談があった頃ですね。デニーズに呼び出されて、担当の編集さんから、「ドラマ化の話があるんだ」と言われたんです。ただ、そのときは「話だけだから。100%ないと思って聞いてくれ」って言われたんですけど。この人は、どうして実現しない企画を僕に言うんだろうって思いました。夢を持たせるようなことをしないでくれよって(笑)。
――しかし、水面下では実現に向けてお話が進んでいたわけですよね。
石原 だから、未だに意味がわかんないんです。しかも後日、その編集者から、「千葉に行くから一緒に来てくれ」と言われて。今度は夜に呼び出されました。拉致されて山に捨てられるんじゃないかと思いましたよ。で、これも謎なんですけど、その夜は千葉に行かず、編集者の家の近所のビジネスホテルに泊めさせられたんです。
――わざわざ?
石原 理由も何も言われずに、とりあえず泊まってくれって。で、次の日に連れて行かれたのが、千葉のビッグボーイだったんです。
――ドラマの撮影場所になった店。
石原 そう。しかも、お店に着いたらロケ車みたいな車がいっぱい停まっていて、店内に隆太さんたちもいて……。
佐藤 え、先生はあそこで初めて知ったんですか? それまで何も言われてなかったんですか?
石原 そうですよ。
佐藤 ハチャメチャじゃないですか(笑)! じゃあ、あの段階で先生はOKを出してなかった?
石原 いや、最初の「あり得ないけど」って話の時点で、もしあるなら喜んでお願いしたいとは言っていたんです。あの当時は一部の男子しか読んでくれないような漫画でしたし、ドラマになったらいろんな人に読んでもらえるんじゃないかと思って。
佐藤 じゃあ、あの日は先生にもサプライズだったんだ。
石原 そうなんですよ。
――要するに編集者のドッキリだったということなんですかね。
石原 まあ実際びっくりしましたよね。僕は最初、隆太さん、岡田(義徳)さん、塚本(高史)さんの3人が座っているのを見たときに、「あ、『木更津キャッツアイ』だ!」って思いました。自分の漫画の実写化じゃなく(笑)。
佐藤 (笑)。でも良かったですよ。「こんなの聞いてないぞ!」とか先生に言われなくて。
石原 ドラマのことは本当うれしかったですから。それからは現場の邪魔にならないように、シリーズ全話の見学もさせていただきました。
――しかし、ドッキリにしても前日の宿泊は謎すぎますね。
石原 あれは怖かったですよ。「何があるんだろう?」って寝られなかったし。全部本当にあった話です。