立花孝志、ガーシーのやり方をどう思う?
伊藤 ただ、そこで「政治のエンタメ化」と言い切れてしまうのは、石丸市長のすごさだと思います。確かに、立花(孝志)さんは一点突破で面白いところはあるけど、まず人間としてふざけてますみたいなところが、僕的にはNGなんですよね(笑)
石丸 選挙で議席を取っている事実があるから、認めざるを得ないというのが率直な思いですね。もちろん最終的には政治家としてやるべき仕事があるので、そこは外せないと思います。なので、ガーシー議員の件については試行錯誤の中で生まれたひとつのエラーだったのかなというのが僕のとらえ方で、あれが正解ではないと思うけれど、日本の政治が変わるためにはああいったトライアル&エラーを繰り返さないと成長はないのかなって。
伊藤 僕は下手すると自分もああいうイロモノ扱いをされてしまう可能性があるので、単純に「悪いけど一緒にしないでくれ(笑)僕は本気で内側から変えていこうとしているんだから」って思っています。『おいしい地方議員』の中身をしっかり読んでいただいた方には、本気度が伝わると思いますが、“おいしい“の部分だけ切り取られたりとか「地方政治はブルーオーシャン」みたいな一元的な情報しか受け取ってもらえないことがあります。
石丸 伊藤さんのその悩ましさの根源は、議員の活動の解像度の低さにあると思うんですよ。だから、メディアがそれぞれの議員のことをもっと鮮明に伝えてあげれば、変な誤解は防げるんじゃないかなと思うんですよね。
伊藤 まあ、いまの時代はTwitterとかもありますからね。
石丸 そこはすごく助かってます。これまでだったら「変な奴がいるぞ」で終わってたかもしれないけど、いまは自分の主張を表に出せるし、己の信念が貫きやすくなっていると思います。そういう意味では旧来型の政治、政治家と決別するいい時代に入っている気がするんですよね。僕らの世代って古いタイプの政治しか知らないと思うんです。政治とは薄暗くてドロドロした世界で、そういうものだ、みたいな。でも、今はだいぶ陽が差し込むようになっていて、水も流れてるよっていうことを身を持って伝えていけたらいいですね。(#2へつづく)
#2 地方議会が腐りきらないために統一地方選で変えられることはあるのか?
取材・文/森野広明