#1 居眠り&ポジショントークを繰り返す地方議会はまるで吉本新喜劇!?

ブラジルのスラム街での撮影と地方議会の議員の仕事の共通点は!?

――石丸さんも、伊藤さんも、昔から政治家を目指していたわけではなく、身近なふとした問題をきっかけに政治の世界に入られました。そのモチベーションは当選後も維持できているのでしょうか?

「こんな奴は一般の社会で仕事できない。でも、そんなのが議員に普通にいます」普通の人が、もっと普通に選挙に出られるようにするためにできることは? 地方議会で空気を読まずに暴れまわるふたりの政治家の提言_1
秦野市議会議員・伊藤大輔氏(左)、安芸高田市長・石丸伸二氏(右)
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伊藤 3年半ぐらいやってきて、あまりにもしょうもないことを他の議員に言われたりするので、正直、疲れてきてはいます(笑)。でも、ここで僕がやる気をなくしたら、つまらない話で終わってしまいますからね。僕は兼業でやっているので、ほかの仕事で東京に行くことがリフレッシュになっていたりしますが、石丸市長は逃げ場がないのでかなりストレスがあるんじゃないですか?

石丸 僕は、割と丈夫にできている気がします。「市長、あんなこと言われてよく嫌にならないですね」って言われるけど、もちろん嫌なんですよ(笑)。罵詈雑言を浴びればそりゃ多少は傷つくけど、傷はすぐ塞がるんで。だから、面倒くさいなと思うことは多々あっても、市長選に出ようと思ったときから一定の熱はずっとありますね。

で、その熱の質というのも議会を重ねるごとに変わっていると思います。例えばなにか課題があったとして、右に行くのか? 左に行くのか? と思ったら、いや上かい!? みたいなことが多い(笑)。だから陳腐なたとえですけど、小学生のときに夢中でテレビゲームをやっていたときの「このハードモードを絶対にクリアしてやる」みたいな思いですね。もちろん遊びだとは思っていないし、市政を軽んじてるわけでもないんですけど、前職でも仕事に対して同じようなスタンスだったので、自分の中ではそれが職業人という感覚なんです。

伊藤 やっぱり向き不向きはあると思うんですよ。僕も正直、そういう刺激はエネルギーになるから、別に嫌いじゃない。だけど、石丸市長や僕みたいな人がいることで、次にやってくる人への風当たりを、もう少し柔らかくしてあげることはできるんじゃないかと思っています。

石丸 『おいしい地方議員』に収録されている(田村)淳さんとの対談で、伊藤さんはご自身のことを野球で言えば1番バッター、サッカーでいえばフォワード、つまり切り込んで突破する役割だということをおっしゃられていたと思うんですけど、今この局面での伊藤さんの役割があって、ほかの多くの人はそれに続くポジションなんですよ。それが全体として役割分担になっているというか。

伊藤 写真家としてブラジルのファベーラ(スラム街)に入って行くときと同じなんですよね。刺激だったり、ファーストペンギンとして新しいことをできることも含めて、その開拓していく感覚は嫌いじゃないですね(笑)