「日本版DBS」導入検討も、なお残る課題
こうした、教員以外の人物によって繰り返される被害も防ぐため、4月に発足するこども家庭庁は「日本版DBS」の仕組みを検討する。DBSとは、イギリスで導入されている、性犯罪歴がないことを証明する書類を提出しなければ、子どもと関わる仕事に就くことはできない「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス(Disclosure and Barring Service)」という仕組みの略だ。
日本版DBSをめぐっては、個人情報保護との兼ね合いなども課題にあがっており、施行は早くて再来年度とみられる。文科省官僚は「日本版DBSが導入されれば、過去に子どもへの性犯罪をした人物が再び子どもに関わる仕事に就くことは、大きく制限されます」と、導入に期待を込める。
ただ、「わいせつ事案では、子どもが『先生から受けた被害を訴えると、高校受験に響くかもしれない』『被害を受けたと周囲に知られるのが嫌だ』と泣き寝入りしてしまうケースもあり、すべての性犯罪者がデータベースに載るわけではありません」と、その限界についても語る。
また、過去に問題行動を起こしていなくても、子どもに対する欲望を心に秘めているような人物の採用も、日本版DBSだけでは防げない。
「教育委員会や民間企業が採用の際に『あなたは子どもに対する性癖を持っていませんか』なんて聞いたとしても、『持っています』と答える人はいないでしょう。教育現場では、わいせつ事案を防ぐための研修や、先生と子どもを2人きりにしない注意も必要になってきます。まだまだ抜け道、課題だらけなのが実情です」(前出の文科省官僚)
これ以上、被害者となる子どもを生まないために、二重三重の取り組みが求められる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班