後を絶たなかった「再任用後の再犯」

〈わいせつ教員の再任用を防げ!〉4月から全国でデータベース活用へ。それでも学童保育の職員や部活動指導員の採用では「まだまだ抜け道だらけ」の声も_2
文部科学省

子どもに対する性暴力は再犯率が高い。法務省の2015年版犯罪白書によると、調査対象となった性犯罪の再犯者9人のうち8人の再犯が小児わいせつ型に該当したという。

これまで教育委員会は、採用の際に、過去の処分歴を自己申告させるなどして、子どもへのわいせつ行為で処分を受けた教員を再び採用しないようにしてきたが、処分歴や逮捕歴のある元教員が改名したり、処分歴を隠して別の県での採用試験を受けたりして、再び学校現場に戻り、子どもにわいせつ行為をする事例もあった。

「たとえば、2017年に女児へのわいせつ容疑で逮捕された、愛知県内の小学校の臨時講師は、埼玉県の小学校で教員として働いていた2013年にも、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で罰金の略式命令を受けていました。この男は懲戒処分も受けていましたが、のちに改名し、処分歴も隠したため、愛知県で再就職できたのです。学校現場での教員のわいせつ行為は、被害者である子どもの個人情報保護のために、報道発表されないこともあります。そのため、情報の把握がしづらいのです」(全国紙記者)

こうした事案を防ぐため、文科省はデータベースの実効性を高めるのに必死だ。わいせつ行為をした教員が依願退職を申し出た場合も、データベースに載らなくなる依願退職は認めずに、厳正な処分をするよう、教育委員会に求めている。

ただ、どれだけ文科省がデータベースを緻密に整備しても、子どもへのわいせつ歴がある人物が子どもと関わる仕事に就く「抜け道」はいまだ残っているのが実情だ。

子どもに関わる仕事は、教員だけとは限らない。学校の敷地内に入る立場だけでも、学童保育の放課後児童支援員、部活動指導員などがいる。

だが、市町村や学童クラブを運営している団体が学童保育の放課後児童支援員を、教育委員会が部活動指導員をそれぞれ採用する際には、データベースは検索できない。今回整備されたデータベースは、あくまで教員採用時のチェックを目的とし、閲覧が限定されているからだ。

個人情報の厳格な管理は重要である一方、教育関係者は「学童保育の放課後支援員のような、教員以外の人物が学校で子どもにわいせつ行為をする事案は後を絶たず、再犯の例もあります。対策は喫緊の課題です」と危機感を募らせる。

実際に、読売新聞によると、2020年11月に千葉県の学童保育で、小学生男児のズボンに手を入れ、陰部を触ったなどとして、翌年に千葉地裁で懲役2年、保護観察付き執行猶予5年の判決を受けた男は、岡山県内の学童保育に勤めていた2020年3月にも同様の事件を起こしていたという。