「女性のお化粧と一緒」

――転売ヤーも多く、プレ値がつくモデルだけに人気が集中する、という最近のスニーカーブームについてどう思いますか?

個人的には、スニーカー好きということでお仕事をいただいたりもするんで、ブームに対してネガティブな想いはなくて。

でも、やっぱり転売に次ぐ転売ですごく高くなって、買いにくくなることがあるので、「皆さん、自分が履く為にだけ買ってください」という気持ちはありますけどね。

――なるほど。

あとは、こういうジョーダンとか、プレ値ついているスニーカーを自分のお金で買えるようになったのは、なんだかんだ20代半ばくらいなんです。

芸人になった最初の頃は、ABCマートやatmos、BILLY'Sとかのショップに行って、それこそエアフォース1とかヴァンズのオールドスクールとか、普通に買えるものを履いていて。

やっぱりインライン(一般に流通しているスニーカー)で買える王道スニーカーにも、ちゃんとした魅力があるんですよね。

そういう王道スニーカーにもっと目を向けて欲しいな、とも思いますね。でも、人それぞれの楽しみ方があっていいと思います。

「購入費総額は1000万円超え」「僕にとっての“おめかし”」転売ヤーへの思いや、盗られてしまった初めての1足…アントニーの深すぎるスニーカー愛_9

――スニーカー選びで大切にしている基準はありますか?

カラーリングですね。なんでこんなにスニーカーが好きになったのかなと考えたら、中学生の頃に先輩から「いいじゃん、エアフォース1」とか、当時ターミネーターというモデルが流行って履いていたら「うわ! ターミネーターいいね!」とか言われたのが、やっぱり嬉しくて。

スニーカーヘッズからは怒られるかもしれないですけど、そうやって人から褒められたい欲が今でもあるんです(笑)。

それもあって、ちょっと攻めたカラーリングのスニーカーの方が僕は好きですね。

――最後に、アントニーさんにとってスニーカーとは何でしょうか?

本当にテンションを上げてくれて、自分を輝かせてくれる。こんなことをいうのはアレですけど、僕みたいなのはいいスニーカーでも履かないと、周りからチヤホヤされないんで(笑)。

だから女性のお化粧と一緒ですね。スッピンで家の外にあんまり出たくないじゃないですか。それと一緒で、スニーカーはおめかしです。

「購入費総額は1000万円超え」「僕にとっての“おめかし”」転売ヤーへの思いや、盗られてしまった初めての1足…アントニーの深すぎるスニーカー愛_10
すべての画像を見る

取材・文/佐藤麻水
撮影/浅井裕也

前編:「1985年に生まれた“ジョーダン1”がスニーカーの最高傑作です」元祖スニーカー芸人、マテンロウ・アントニーが語るナイキの凄さはこちら