“上がり感”がある最高にかっこいい服だけに、
なかなか着ることができないジレンマ
毎年、11月も半ばを過ぎたこの時期になると、「そろそろだな」とクローゼットの奥からやおら引っ張り出す服がある。
トレンドなんか関係ない。
冬になったら着るんです!
何をって? ライダースだよ!
とっくに齢50を超えているが、いくつになっても中学生時代に頭をぶちのめされたパンクロックを愛し続ける僕にとって、ライダースの革ジャンとはそういうアイテムなのだ。
なんてカッコつけてはみたが、毎年のシーズン中、実際にこのライダースに袖を通すのは、数回程度にとどまるのが常だ。
なぜならライダースはパンク好きの僕にとって、これ以上の服はないと思える“上がり感”があるアイテムである一方、残念ながら自分にはあまり似合わないという自覚もあるからだ。
語弊があるかもしれないが、ライダースは極めて着る人を選ぶ服だ。
男性に限って言えば、一番似合うのは若々しくて背が高くてスマートでキリリとした男前。
残念ながら、この僕は当てはまらない。
でもやっぱり涼風が吹く季節になると、もしかしたらそろそろ似合うようになってるんじゃないかな?という、万に一つの淡い期待とともに着てみて、「ああ、やっぱりなんか違う」と打ちのめされることになる。
僕がライダースについて、ジレンマに近い悩ましき気持ちを抱く要因は、理想とするお手本がカッコよすぎるからかもしれない。